第19章 小判の使い道
「そろそろ茹だったかなぁ~。ザルザル~。」
愛染「あっ」
愛染が何て言ったら良いのか戸惑っているうちにうどんが茹で上がり、七葉はそれまでと変わらない様子でザルを取りに行く。
湯切りをしてうどんを取り分けていると、加州達が厨にやって来た。
加州「主、何か手伝うことある?」
「ん、もう出来たから後は汁をよそうだけだよ。」
手伝いを申し出てくれた加州と話していると、横から薬研が覗き込んでくる。
薬研「お、今夜はうどんかぁ!」
「うん!愛染がめっちゃ踏んでたからきっと、コシのあるっうど~んがぁっ、、、ふふふ。」
つい歌いそうになり笑うと、今度は反対から五虎退が覗く。
五虎退「主さま?」
「あっ、えっと、、」
突然笑った七葉に、五虎退が不思議な顔をしているので説明しようとすると、乱が話に割って入って来た。
乱「ねぇ、良いから早くよそって食べようよ。ボクもうお腹ペコペコ~。」
「そうだね、のびちゃうし。」
七葉は乱の言葉にうなずくと、うどんの入ったお碗を乱に手渡す。
「はい、後はあっちで愛染に汁をかけてもらってね。」
乱「は~い。」
「愛染、悪いけどお玉3杯ずつでよろしく!」
愛染「お、おぅ。」
呆気に取られていた愛染は急に話をふられて、慌てて返事をすると順番に汁をよそっていく。
その様子に、加州は違和感を感じていた。
薬研「大将の分は俺っちが運んどいてやるよ。」
薬研はそう言うと、うどんの入ったお碗を2つ持ってくれる。
「あっ、ありがとう。」
五虎退「あの、、じゃあ、僕は、愛染さんの分を。」
「うん、よろしくね。はい、加州も。」
加州「あ、うん。」
五虎退にもうどんを2つ渡し、加州に最後のうどんを渡すと七葉はお盆に全員分のお茶を用意し始めた。
加州「、、、」
加州は横目で七葉が離れている事を確認すると、汁をもらいながらこっそり愛染に話しかける。
加州「ねぇ、何かあった?」
加州の耳打ちに、愛染はさっきの事を言うべきか迷い曖昧に答える。
愛染「その、何ってほどのことじゃねぇけど、、」
中途半端に言葉を濁し、チラッと主を確認した愛染に加州はここでは言いにくいのだと判断した。
加州「後で聞かせて。」
愛染が返事をする前に、七葉に厨の出口から声をかけられる。