第18章 愛染明王の真言
「私、この本丸に来てくれた子はもれなくみんな家の子だって思ってるから!可愛いし格好いいし好きなの。わかった?」
ほっぺを潰したまま屈んで、目線を合わせ言うと愛染がうなずいた。
嫌ってない事はわかったようなので、ほっぺたから手を離す。
愛染「じゃぁ、急にどうしたんだよ?」
愛染の言葉に七葉は、もう隠して誤解を招くなら喋っちゃおうと決意し話す。
「私、食べ物に嫌いな物ほとんど無いしうどんは寧ろ好きなんだけどね。その、、前に他所の本丸で歌いながらうどん作る刀剣を見た衝撃で、、」
愛染「う、歌いながらうどん作り!?」
「そうなの。長谷部と燭台切、鳴き狐と三日月も歌ってて。それがもう可笑しくて。まさか自分も本丸でうどん作るなんて思ってなかったから、動揺しちゃって、、」
また思い出して肩を震わせ笑うと、愛染がホッとした声で言う。
愛染「そんなことかよ~。ならもっと早く言ってくれたらいいに。」
「いや、まだ家にいない彼らの名誉に関わるかと。」
結局言っちゃったが。
愛染「そんなに面白いなら俺もみたかったな。」
残念そうに言う愛染にこっそりと教える。
「現実に行けば録画あるよ?」
愛染「マジか!」
そんな話をしなから、うどん作りを再開した。
汁ができ隣でうどんを茹でていると、愛染が急に口を開いく。
愛染「しっかし、みんな好きっなんてそんな恥ずかしい台詞よく言えるよな。」
「そう?愛してるなら兎も角好きは普通じゃない?」
愛染「あっあっ愛ッ!?」
驚いた愛染に寧ろこっちが驚く。
「いやほら、お菓子が好きとか絵本が好きとか。好きはそれと変わらないよ?」
七葉が慌てて説明すると、隣から盛大なため息が聞こえてきた。
愛染「はぁ~、そういう事かよ。」
七葉が不思議そうな顔をすると、愛染は呆れたように言う。
愛染「なぁ、いつもそんななのか?」
「そんなって?」
本当に解らないという顔に、愛染はまたため息をついた。
愛染「いや、だからさ簡単に好きとか言ってると勘違いされるって。」
愛染の言葉に、七葉はそれまでとは全く違う冷たい声で答えた。
「大丈夫だよ。私は誰にも愛されないから。」
愛染「え?」
その声に愛染は慌てて振り向くが、視線を落としている七葉の表情をうかがう事はできなかった。