第18章 愛染明王の真言
「さ~て、今夜は何にしようかな?」
厨にある食材を見ながら、献立を考えていると愛染が何かを見つけて持ってくる。
愛染「なぁなぁ、俺コレ食いたい。」
「ん?ナニナニ?、、、な、、」
愛染が広げて見せた紙には、こう書かれていた。
「はじめての、、うどん作り、、」
ど、、どこの本丸から持ってきたッ!?
それとも本丸の厨には、うどんレシピが完備されてるものなの!?
愛染「な!はじめてでもできるってよ!」
七葉の驚きをよそに、愛染は目をキラキラと輝かせている。
「じゃ、じゃあ、、今夜はけんちんうどんにしようか。野菜はたくさんあるし。」
愛染「おぅ。」
こうして、まさかのうどん作りが始まった。
愛染「なぁ、料理って楽しいな。」
七葉がけんちん汁に使う野菜を切っていると、先ほどから袋に入れたうどんを踏んでいた愛染が言う。
「そ、そっか。」
うどん作りは普通の料理とだいぶ違う気もするが、楽しんでるようで何よりだ。
そんなことを考えている七葉だったが、愛染には七葉の返事のしかたが腑に落ちないらしく、また口を開く。
愛染「なぁ、さっきから上の空だけど、どうしたんだよ。」
「そっ、そうかな?」
まさか脳内に、うどんミュージカルをする長谷部と燭台切がチラついて料理に集中できないッ!とは言えずごまかすと、愛染が急に落ち込んだ様子になった。
愛染「もしかして、俺と2人きりが嫌なのか?」
「へ?」
的外れな言葉に思わずすっとんきょうな声が出る。
愛染「あっ、いや、、何て言うかさ、俺、他のやつらと違ってドロップだし、まだ慣れねぇのかなって。」
愛染の言葉に七葉は愛染が自分が他の刀と違った事を気にしていた事を知って驚く。
そんなこと全く気にしていなかったが、確かに2人きりになって急に対応が変われば不振に思うのも無理もない。
「違っ、、」
愛染「な~んてな。さ!さっさと飯作っちまおうぜ。」
否定しようとした言葉をさえぎられ、向こうを向いてしまった愛染に七葉は思わず袖を引っ張り振り向いた愛染のほっぺたを両手ではさんでムニッと潰した。
愛染「なっ!何だよッ?!」
「ちゃんと最後まで聞いて。」
ジタバタする愛染を無視して、七葉はそのまま話を続ける。