第17章 函館
薬研「どうした大将、顔色が悪いが。」
答えられず黙ってしまった七葉に、加州がそっと話しかけてくる。
加州「主は優しいから、俺が独りで出陣して重症になったこと思い出しちゃったんでしょう?」
「うん。」
うつむいて返事をすると、加州は優しい声で言った。
加州「大丈夫。今度は独りじゃないし、刀装だって装備できるからこの前のようにはならないよ。」
「でも、、、」
それでも顔を上げれずにいると、心配そうに様子を見ていた乱が発言する。
乱「主さん。、、、加州、敵の部隊編成とか覚えてる?」
加州「あぁ、短刀が2振り。刀装も無かったし先に行ってもさほど変わらないと思う。」
乱「そっか。ならボクと加州だけでも平気そうだけど、念のため1人増やして薬研も行っとく?」
薬研「そうだな、心配なら連れてってくれ。邪魔にはならん。」
「え?」
トントンと話を進める乱にビックリして顔を上げると、目があった乱がウインクして見せる。
乱「今日の近侍はボクだからさ。主さんが困ってるなら、ボクも一緒に部隊を考えるよ。」
そう言ったり乱に、今まで名前が上がっていない五虎退が話しかける。
五虎退「あの、、乱兄さん。僕は、出陣、しなくて良いんですか?」
乱「うーん、多い方が良いのかな?6人までは組めるみたいだし。ねぇ、主さんはどうしたい?」
「確かに人数いた方が攻撃が分散するから全員出陣の方がいいのかな?」
わざわざ話題をふってくれた乱ちゃんに感謝しつつ答える。
しかしそれは、直ぐに薬研に否定された。
薬研「いや、戦力的に充分なら五虎退は残すべきだろう。」
だがそれに納得がいかなかったのか、珍しく五虎退が聞き返す。
五虎退「あの、、僕もあるじ様の為なら、戦えます。」
はっきり言った五虎退に、薬研は一瞬目を見開いた後微笑んで、そのまま冷静に話を続ける。
薬研「別に俺っちは、五虎退を軽く見てる訳でも過保護で言ってる訳でもねぇぞ?」
五虎退「じゃあ、、どうして、、ですか?」
薬研「確かに戦力はあるに越したことはない。だが俺っち達が全員出はらったら、手薄になった本丸や主を狙う悪いヤツが来るかも知れねぇだろ?」
薬研の言葉に加州も頷く。
加州「そうなんだよね。それに主って無茶する人だから、独りにしたら何しでかすか。」
加州がちらりとこちらを見る。