第16章 赤い糸
加州「本当に俺の戦闘服と同じ雰囲気だ。」
加州は驚いていて言う。
「うん。爪ガンダムする時とかは、もっと細かるからこれはイメージデザインだけどね。」
そう言うと、七葉は残してあった親指も同じ手順で爪を仕上げる。
親指は硬化する時の指の角度が違うので最後にすることが多く、1つだけ爪の幅が広いから細かなデザインがしやすいので七葉は筆を書道の小筆に持ち代えて刀剣男子紋のデザインを書いていく。
唇に筆をくわえ耳に髪をかけ直す姿は色っぽく、加州は思わず見とれてため息を漏らした。
加州「っ、、、」
「ん?どうしたの?」
七葉は再び筆を持つと加州にたたずねる。
加州「あっ、いや、、」
目をそらした加州を不思議に思い、考えて自分がつい癖で筆をくわえていた事に思いいたった。
「あっ、行儀悪かった?集中しすぎると筆置く時間が惜しくて、またにやっちゃうんだよね歌麿癖。」
仕事ではやらないけど家だと気が抜けてるし
アシスタントがいないから何本もの筆やウッドスティックを同時に使う作業は、ついつい両手だけじゃ足りなくて、、と七葉は苦笑いをする。
加州は的はずれな主の発言に、こんな些細な事にさえ反応してしまう自分を心の中で笑う。
そうこうしているうちに、両手の爪が完成した。
「はい、で~きた。どうかな?」
加州「スゴく可愛くなった!」
満足げな加州に、七葉も嬉しくなって頬笑む。
加州「俺、こんなに幸せて良いのかな?」
「え?」
不意に呟いた加州に、七葉は思わず聞き返す。
加州「だって、何だから俺ばっかしてもらってる気がして。」
不安げな加州の言葉を、七葉は直ぐに否定した。
「そんな事ないよ。さっきだって加州は洗い物をかって出てくれたし。それに私は、いつも1人で寂しかったからそばにいてくれて話したり、一緒に食事をとってくれる人がいるだけで幸せだよ。」
昼間は良い。仕事で人に関わるし、出かけて気を紛らす事もできる。
家族中が悪いわけでもなく、今の仕事に付いてからはそれなりに回りの人も良い人達で平和な毎日を送っているから別に不満があるわけでもない。
ただ不とした瞬間に1人になると、どうしようもない寂しさと怖さにおそわれてしまう事があるのだ。