第15章 IHと炊飯器の正体
もう元の時代に来てもらえないじゃないかと、悲しそうに話す加州に、七葉は笑いかける。
「大丈夫だよ。前にも言ったけど、私は昔の日本文化が好きだから全然苦痛じゃないし。それにね、今の生活があるのは全部昔の歴史があるからなんだよ。だから、今の平和な日本守るためにも、歴史遡行軍とは戦わないと。」
そりゃ、2016年になるまでだって戦争とか震災とか変えれるなら変えてしまいたい歴史はたくさんある。
私の人生だけだって、あの時こうしてたらでいっぱいだ。
もしかしたら、歴史修正主義者が現れる更に先の未来には、もっと辛い何かがあったのかも知れない。
それでもやっぱり、その時生きた人達が選んだ決意や意思を、全部否定して無かったかとにしやり直しをする事が最善策とは思えなかった。
「おっと、こんな話をしてある間にご飯が冷めちゃうね。せっかく得意なハンバーグと肉じゃがとカレーを全部作ったのに!」
七葉は、しんみりした気分を振り払うように明るく言い、キビキビとご飯をよそう。
加州「全部って、そんなに食え無いよ。」
加州もそれを察したのか、笑いながら話をご飯へと戻した。
「だって加州の好みが分からなかったし。それに、全部と言っても肉じゃがとカレーは明日のだよ。どっちも一晩以上置いた方が美味しいからね。」
七葉はそう言うと、しらたきの方に肉じゃがの味付けをしカレーに残りのルーを入れて一度煮立てて火を止めた。