第9章 薬の効果?
薬研「苦くなかったな、大将。」
薬研はそう言うとニヤリと笑い、自分の唇についたら液体を指でぬぐってそのまま舐める。
「な、な、な、な、なッ、、」
薬研「ん?なんだ大将。正かとは思うが、口づけが初めてだったのか?」
動揺している七葉に、薬研は何事も無かったかのような口調で問いかける。
「、、違う。、、けど、、」
だからと言って、いきなり口移しはハードルが高すぎる。
あまりの恥ずかしさに、下を向いて黙り込むとそのまま薬研に抱きしめられ、七葉はびくっと体を固くする。
薬研「悪い、大将。嫌な思い、させちまったか?」
「違ッ、、嫌だった、訳じゃ、、」
慌てて返すと薬研はホッとしたように呟く。
薬研「そうか。」
そのまま肩をあやすようにポンポンとされ、強張った体から力が抜けていく。
薬研「これでも心配してるんだぜ。」
そんな風に言われたら、もう怒るに怒れない。
「薬研は、、ズルい。」
薬研「あぁ、そうだな。」
優しく抱きしめられている内に、何だか安心して眠くなってきた。
薬研「大将、眠いならそのまま寝ちまぇよ。その方が回復する。」
「ぅ、、ん、、」
微睡みの中薬研の声に返事をしつつ、七葉はそのまま眠りへと落ちていった。
薬研「寝た、、か、、」
薬研はそう呟くと、自分の腕の中で寝てしまった主をそっと布団に寝かせる。
全く、今度の主は世話のやる大将だ。
これじゃ、弟達とそう変わらないな。
そんな事を思いながら薬研は眠っている七葉の頭を撫でる。
薬研「おやすみ、大将。」
薬研はそう言って口づけ、自分が無意識にした行動に驚いた。
どうやら自分は、こんな手のかかるヤツが気に入ったらしい。
薬研「まぁ、世話するのは好きだしな。」
薬研は苦笑いを浮かべると、そのまま部屋の外にでた。
戻ってきた五虎退に、七葉が眠っている事を伝えて手入れ部屋に向かう。
やはり、気休めの薬より早く原因を解明して治してやりたい。
しかし、この後薬研が導いた原因とその解決方法は、本人も予想だにしないものだった。