第9章 薬の効果?
目が覚めると現実、、ではなく本丸の自室にいた。
加州の言っていた条件が何なのか聞きそびれてわからないが、どうやら今回はその条件に当てはまらなかったらしい。
部屋の中を見ると薬研の姿はなく、代わりに林檎を持った五虎退が座っていた。
五虎退「あっ!あるじ様、、」
五虎退は七葉が目を覚ましたことに気が付くと、 心配そうに話しかけてくる。
五虎退「あの、、調子、、どうですか?」
五虎退の言葉に、七葉は体をおこし足を動かしてみる。
すると何事もなかったかのように、左右の足は思い通りに動いた。
「あれ?普通に動く、、!?」
驚いて言うと、五虎退が嬉しそうに返事をする。
五虎退「良かった、です。やっぱり、、薬研兄さんのお薬は、すごいです。」
五虎退の言葉に、薬研に口移しで薬を飲まされたことを思い出す。
「ほんとにね、、」
あんなの、絶対短刀のすることじゃない。
そんなことを考えていると、五虎退がオズオズと林檎を差し出してきた。
五虎退「あの、、加州さんに、病気の時は、林檎だって聞いて。その、、もう、必要ないかも、ですが。」
五虎退はそう言って、持っていた林檎を差し出す。
「そんなことないよ!ありがとう、五虎ちゃん!」
五虎退が、加州に相談している姿を想像すると何だか微笑ましくて、七葉は林檎を受け取るとにっこりと笑った。
五虎退「それじゃあ、ぼく、皆に、あるじ様が良くなったって、伝えてきます。」
五虎退はその笑顔に安心したのか、嬉しそうに走って行く。
それを見送りながら、まさかの丸ごと渡された林檎を撫でて、少しかじってみる。
甘酸っぱい果実の味とともに、口の中に微かに残った薬の味に気がつき、七葉は顔を林檎のように赤くするのであった。