第5章 初めての鍛刀
そのまま、床にのめり込んで消えてしまいそうな加州を、どうしようかと考えていると、不意に鍛刀部屋の戸が開いて鍛冶職人が打ちあがった刀を持ってやって来た。
鍛冶職人は刀を刀掛けへとセットすると、無言のまま戸の前でこちらに一礼し、そのまま鍛刀部屋へと戻っていく。
うわぁ~なんてタイミング!と慌てながらも、せっかく作ってもらった刀を顕現しないと!と加州に声をかける。
「加州、さっきのは私も悪かったし許してあげるから、とりあえずできた刀見てみよう?」
まだ、いじいじしている加州の腕を半ば強引に引っ張って、刀の置いてある祭壇の前までやってくる。
祭壇には、小さめの刀が一振り祀られていた。
「ねぇ加州、これどうやったら顕現できるのかな?」
そう加州に聞くと、渋々といった感じでやり方を教えてくれた。
加州「まず刀を横にして両手で持って。」
「こ、こんな感じ?」
加州「うんそう、そんな感じ。それから、目を閉じて刀の峰の部分に唇をつけて息を吹き込む。」
「うん、やってみる。」
刃物に唇を寄せるのは怖かったけど、言われた通り刀の峰を唇ではさみフーッと息を吐いた。
その瞬間、辺りが光に包まれたかと思うと、桜吹雪と共に現れたのは五虎退だった。
五虎退「僕は、五虎退です。あの、、しりぞいてないです。すみません。だって、虎がかわいそうなで。」
「かっ、、可愛い~♪♪」
五虎退「あっ、、あるじ様、苦しい、、です。」
もじもじしている姿が可愛くて思わず抱きつくと、五虎退は照れた顔でジタバタする。
それがまた可愛いらしくてぎゅっと抱きしめる。
すると、真っ白な首筋にキスマークを見つけた。
「!!!これもしかして?さっき私がつけたやつぅ!?」
加州「だろうね。」
「わぁ~~」
何か色々とまずいんじゃない!?と七葉が慌てていると加州が呟く。
加州「良かった首で、、」
顕現しても残るんだ。今度から口付ける場所もちゃんと考えないと、、と反省している七葉に五虎退は首をかしげる。
五虎退「あの、、あるじ様。どうかしましたか?」
「なんでもない、なんでもないからね~!」
不思議そうな顔をしている五虎退をごまかし、顕現部屋を出て厨へと向かう。
加州が用意してれたご飯は主にいっぱい食べてもらおうと量が多かったので1人増えても分量的には全然困らなかった。
