第4章 初陣
加州を治療台に寝かせ、すでにはだけているシャツを広げた。
生々しい切り傷に怯みそうになるが傷口を怖がっていては治療なんて出来ない、と自分に言い聞かせる。
こんのすけ「主様、これを!これを傷口にポンポンして下さい。」
「うん。わかった。」
こんのすけから道具を受け取り、ビンに入った粉を付けてそぉっと傷にポンポンする。
繰り返す毎に傷口が薄くなっていくのがわかった。
「よかった、、治りそう、、」
安心して独り言を呟くと、さっきまで顔を背けていた加州がこちらをみてぼそっと何か呟いた。
加州「修理してくれるって事は、、まだ、、愛されてるのかなぁ、、」
気力の無い言葉に苦しくなる。
何で加州はそんなことばかり言うのだろう。
悲しくて何も言えないでいると、こんのすけが何かをくわえてやって来た。
こんのすけ「主様!こちらは手伝い札でございます。この札を使いますると、刀剣の修復を一瞬で完了する事ができます。」
ただし神力を消費しますので無理はしないで下さいね。と差し出された紙を受け取り七葉はすぐに使う事を決意する。
神力の消費と言うのがどんなモノかわからないが、怪我をした加州を見つめている苦しみに比べたら、大したことは無いように思えた。
手のひらを合わせ指を組み、両指の親指と人差し指の間に札を挟む。
目を閉じて祈りを込めると辺りが白く光った感じがして、目を開いた時にはすでに加州はいつもの姿に戻っていた。
「加州~!!!」
起き上がった加州に思わず抱き付く。
良かった。本当に良かった。
加州「主!主、痛いから!」
「あっあっ、ごめん!!」
力一杯抱き締めてしまった事に気づいて、急いで離れる。
せっかく治したのに、また怪我をさせては大変だ。
加州「いや、離れなくてもいいけどさぁ。でも良かった。俺って愛されてたんだね。」
「へ?」
加州「だっていらなかったら修理、したりしないでしょ?俺、もしかして主に必要とされてないのかもってちょっと思ってたから。」
「えっ!?」
まさかの発言にビックリする。
「何で!?何でそんな風に思ったの!?すっごく必要としてるよ!?」
加州「だって、俺自分で主の所来ちゃったから主に選らばれた訳じゃないし、主は来て直ぐに鍛刀しようとするからやっぱり他の奴が良かったって思ってるのかなって、、」