第36章 未定か
しばしの静寂の後、廊下を歩く足音が聞こえた。
恐らくこんのすけから聞いて、誰か来たのだろう。
薬研は、何事もなかったかのようにスッと体を離すと、布団の脇へと座り直す。
やって来たのは、加州と乱だった。
加州「主、入るよ。」
乱「主さん。もう、平気?」
開かれた襖の先には、お粥をもった加州とその後ろで様子を伺うように顔だけ覗かせている乱の姿がある。
「うん、大丈夫だよ。」
七葉が返事をすると、薬研はそっと場所を開けるようにして立ち上がる。
薬研「それじゃ、俺っちは少し席を外すぜ。」
「うん、いろいろありがとう。」
薬研「あぁ、また来る。」
薬研の立ち去る姿を見送ってから、2人は先程まで薬研がいた場所に腰をおろした。
加州「主。お粥、作って来たんだけど、食べれそう?」
「あっうん、実はお腹空いちゃって。」
加州の言葉に、照れつつも普通に話していると、急に乱に大きな声で呼び止められる。
乱「主さんッ!!」
「ん!?」
驚いて、乱の方を見るといを決したように勢いよく頭を下げる。
乱「その、ごめんなさい!」
「え、、何で乱ちゃんが謝るの?」
不思議に思って首をかしげると、乱はうつ向いたまま続ける。
乱「だって、ボクが主さんの時代に行ってみたい、なんて言ったから。」
真剣に謝る姿は、倒れたのがドアを使わせた自分のせいだと思い詰めているようだった。
何と言って励ませばいいか考えていると、加州が口を開く。
加州「さっき、政府から戻ってきたこんねすけに聞いたんだ。審神者が同時に時を遡らせる事ができる人数には限界があって、就任したての主が一度に移動できるのは6振までなんだって。それ以上になると、審神者としての成長が必要で、、、。だから、初めのうちは部隊数も1部隊に制限されてるみたい。」
「そう、だったんだ。」
はじめて聞く事に戸惑いつつも相槌を打つと、加州は話を続ける。
加州「あの時は、既に宇都宮に5振り出陣してたから、移動できるのは後1振りだけで、その往復分を行きに使いきっちゃったから帰りに支障が出たんじゃないかって話だった。」
「そっか、それで行きはなんともなかったに帰りがダメだったんだね。、、、でも良かった、2人には何も影響がなくて。」
納得しつつ、2人が無事だった事にホッとする。