第35章 扉の正体
鯰尾「実は、さっきの出陣で、敵の本陣にたどり着かなかったんです。」
鯰尾の言葉に、薬研も続ける。
薬研「戦力的には余裕だったんだが、最後の分かれ道がな。まだ昼前だし、そのまま再出陣って話も出たんだが、まぁ最終的な判断は俺っち達が決める事じゃないし、2周して予定より帰還が遅れると、大将、心配するだろ?」
「それは、、、うん。」
見透かされている事に戸惑いつつ頷くと、薬研は困ったように優しく微笑する。
鯰尾「で、資材もゲットしてたんで、一旦それを置いて報告してからって事になったんですけど、手応えもあったしすぐにでも出たいなって。ダメ、ですか?」
鯰尾は、七葉の顔を覗き込むと上目遣いに見つめてくる。
「に、人数や、編成に問題は、無かったんだよね?」
鯰尾「はい!」
その姿に動揺しつつも、確認すると元気な返事が返って来た。
「そっか。それじゃ、ちゃちゃっと重箱に詰めちゃうね。」
七葉が言うと、鯰尾は嬉しそうに答える。
鯰尾「ありがとうございます!じゃあ、俺達は先に部隊に戻って再出陣が決まった件と、お弁当があること皆に伝えて準備してますね。」
「うん!できたら持っていくね。」
薬研「あぁ、悪いな大将。そうしてくれると助かる。」
そう言って2人が立ち去った後、重箱を用意して調理台に近づくと、すでに結構な数のいなり寿司ができていた。
「わー!スゴいね、2人とも!もうこんなに、それに上手!」
七葉が驚いていると、2人は誇らしげに言う。
加州「当然でしょ!」
乱「ふふっ、頑張っちゃった!」
「ありがとう!先、詰めちゃうね。」
お礼を言って、出来たものから順々に重箱に詰めて、隅に箸休めのたくあんを入れ蓋をし風呂敷に包む。
「じゃ、ちょっと届けに、、、」
出来上がったお弁当と水筒に入れたお茶を持って玄関に行こうとすると、加州に呼び止められる。
加州「あっ、待って待って!こんなにたくさん主1人じゃ重いでしょ?俺達も行くから、ね。」
乱「そうだよ!主さん。ボクらに任せて。」
乱もそう言うと、可愛らしくウインクして見せた。
「うん、ありがとう。」
気遣いが嬉しくて、思わず顔がほころぶ。
加州「主。」
乱「主さん、それ反則。」
よくわからず、首をかしげると加州が呟いた。
加州「無自覚って困るよね。」