第35章 扉の正体
「こんちゃんが来てるなら、昼食はいなり寿司にしようかな。きっと、鳴狐やお付きのキツネさんも油揚げ好きだろうし。」
厨に着いた七葉は、そう独り言を言いながら食材棚から油揚げを取り出す。
油抜きするため、鍋にお湯を沸かし、半分に切ったら油揚げを入れ茹でて絞り、そこにだし汁、砂糖、みりん、醤油を入れ煮詰めながら味を染み込ませる。
ご飯を桶に入れ酢、砂糖、塩で味付けして酢飯を作っていると、加州と乱が厨の入口から顔を覗かせる。
加州「主~、やっぱり俺も手伝うよ。」
乱「ボクも!主さんがいないと乱れらんないし。」
2人はそう言いつつ、七葉に近寄って来た。
「ありがとう!それじゃ、手を洗ったらこれ、詰めてもらおうかな?」
乱「はーい!」
加州「了解!」
水場に向かう2人を見送りつつ、わかるように調理台に酢飯と油揚げを置き足元を見るが、先ほどからこんのすけの姿が見当たらない。
「2人とも、こんちゃんは?」
戻ってきた2人に訪ねると、加州が答える。
加州「こんのすけは来る途中、宇都宮に行った愛染達が帰って来たからそっちに行ったよ。ほら、噂をすれば。」
加州の見ている方に視線をやると、そこには砥石をはこぶ薬研と鯰尾の姿があった。
鯰尾「あっ、主さん。いないと思ったら厨でお昼作ってくれてたんですね。」
視線に気づいた鯰尾が、資材を置いてこちらにやって来る。
その後に続いて、薬研も厨へと入って来た。
「うん!出迎えられなくてごめんね、お帰り。大丈夫だった?」
七葉の言葉に、薬研が答える。
薬研「あぁ、問題ないぜ?敵の傾向も変わってねぇし、全員無傷だ。」
「そっか、良かった。」
ホッとしながら話ていると、鯰尾が調理台の方に視線を向ける。
鯰尾「お昼は、いなり寿司ですか?」
「うん!もうできるよ。加州達が詰めてくれるから、後はお味噌汁を作るだけ。」
鯰尾「薬研、、」
七葉の言葉に、鯰尾が薬研に視線をやる。
薬研「あぁ、そうだな。」
薬研は、頷くと申し訳なさそうに口を開いた。
薬研「大将、せっかくだが汁物はいい。俺っち達の分は、包んでくれねぇか?」
「え?いいけど、どうして?」
七葉が訪ねると、鯰尾が答える。