第27章 にぎりめし
薬研「旦那、俺っちが大将に触れるのが嫌なのはわかるが、態度に出過ぎだ。」
加州「別に、そんなんじゃ、、、」
薬研の言葉に加州は口では否定しつつも、図星を指されお茶の用意をしていた手がピタリと止まった。
薬研「ならいいが。首のアレも旦那だろ?」
薬研は先ほど七葉の肩に触れ、顔を近づけた時に首元に歯形のような痕があったことを思い出して告げる。
加州「、、、、、」
黙っている加州に、薬研はそのまま話を続けた。
薬研「大方、大将が俺っちと現実に行ったのでも聞いて嫉妬してってところだろうがな、あれは不可抗力だ。あまり大将を責めるなよ。」
加州はうつ向いて、思い詰めたような暗い声で返事をする。
加州「、、、わかってる。」
それについては、先ほど自分で反省したばかりなのだ。
主が独りで苦しむくらいなら、相手は自分じゃなくてもいい。
誰でもいいから救って欲しいと。
しかし、頭では納得していても感情がついていかないのだ。
薬研は、苦虫を噛み潰したような表情をしている加州に苦笑いしつつつ厨の出口へと向かう。
薬研「俺っちはもう行くぜ。あまり遅くなると、皆戻って来ちまうかもしれないからな。」
加州「あぁ、、」
加州の返事を聞くと、薬研は去り際に振り返った。
薬研「あぁそれと、ついでだから言っとくが、肉じゃがとカレ一は俺っちが食っておいた。大将はきっと良い嫁になるな!」
加州「な、、、」
薬研の嫁発言に加州が驚いてバッと振り向くと、薬研はその表情に笑いながら去っていった。
小広間で食事を並べていると、薬研だけがやって来た。
「あれ?薬研、加州は?」
薬研「あぁ、まだお茶用意してたから先に来た。すぐ来ると思うぜ。」
七葉の問に薬研は答えると、乱の隣に腰をおろす。
それから直ぐに加州がお茶を持ってやって来て、愛染の隣に座った。
全員でいただきますをすると、愛染が口を開いた。
愛染「あ~、待ちくたびれて腹へったぜ。」
加州「はいはい、これあげるから。」
加州はそう言うと、目の前の巨大おにぎりを愛染の前に差し出す。
愛染「おっ?良いのか?じゃ、遠慮なく!」
あ~ん、と愛染が大口を開けたところで薬研がそれに気がつく。