第26章 朝風呂
一面に広がる湯煙と清々しい朝の空気に、思わず伸びをしつつさっと湯網をし、湯着を着たままお湯に浸かる。
服を着たままだと、布が張りついて変な感じがするが、心地よいお湯の温度と何より貸切状態の露天風呂に思わず声が漏れた。
「はぁ~気持ちいい~♪いいお湯だぁ~♪」
手足を伸ばしゆったり寛ぐと、靄の向こうから声が聞こえる。
加州「乱?何?また、お前と一緒かよ。」
そう言って岩の後ろから顔を出したのは、加州清光だった。
「へ?」
加州「え!?なっ!?主!?何でいるの!?」
「わっ、加州立っちゃダメ。て言うか、こっち見ないで。」
加州「ご、ごめん!?」
びっくりして立ち上がった加州から顔を背け静止すると、加州も慌てて後ろを向いてお湯につかる。
「、、、、、あの、」
加州「、、、あのさ、」
「あっ、」
今度は話すタイミングがかぶり戸惑っていると、加州が先に譲ってくれた。
加州「いいよ、主から言って。」
「うん。あの、、加州は、いつの間に入って来たのかな?って。脱衣所に服無かったし、誰か来た気配も無かったんだけど、、」
先に居たなら服があるだろうし、後から来たなら洗い場の横を通るはずなのに、何故気づかなかったのか七葉は不思議そうに話す。
加州「素振りしてて、道場の方から直接来たから。」
加州の言葉に、そう言えばあちら側にも小さな脱衣所があったことを思い出す。
「え?でも、こんなに早くから?」
加州「うん。何だか目、覚めちゃってさ。」
「そっか、、」
加州「主は?こんな時間にどうしたの?それに、いつもは主の部屋のお風呂なのに。」
今度は、加州が不思議そうに聞いてくる。
「その、昨日炬燵で寝ちゃって、お風呂入って無かったから。この時間なら誰もいないと思って、、、」
加州「炬燵?あっ、現実か。」
加州はそこまで言うと、少し考えているかのような表情をして言う。
加州「、、、、主、1人で現実に戻ったの?」
「ん?薬研と一緒だったかな。さっきもね、薬研が乱ちゃんと五虎ちゃん起きたら話して、朝食作ってるからゆっくりしてこいって言ってくれて。薬研、優しいよね。」
少し照れたように話す七葉の声に、加州は黙りこむ。
加州「、、、、」
「加州?どうしたの?」
呼び掛けると、不意に水音がして加州に後ろから抱き締められた。