第26章 朝風呂
薬研「そうか。なら朝食の準備は俺っち達がやっておくから、大将はゆっくりしてこいよ。」
「でも、、、」
申し訳なさそうに言う七葉に、薬研は続ける。
薬研「向こうじゃたいして何も出来なかったからな、気にすんな。と言っても俺っちはにぎり飯くらいしか出来ないが、、」
「おにぎりも美味しいよ。じゃあ、お言葉に甘えてちょっとのんびりつかってくるね。」
七葉は微笑みながら返事をすると、粟田口の部屋から出ていった。
薬研「と言う訳だ。乱、お前起きてるだろ。朝風呂、行くなよ。」
乱「あっ、バレた?」
薬研の言葉に、乱は布団から起き上がる。
薬研「爪が甘いな。」
薬研の言葉に乱は頬をふくらますが、直ぐに話を切り替える。
乱「でもさ~ボクは兎も角、加州と愛染はどうするのさ?」
薬研「、、、あ、」
薬研はすっかり忘れていたらしく、思わず口から声が漏れた。
乱「もう、しょうがないなぁ。ボク、ちょと2人のところに行って来るから薬研はその間少し寝なよ。」
乱はそう言うと立ち上がって部屋を出ていった。
薬研「バレてるのは、お互い様か。」
薬研は、独り言を呟いてあくびする。
とっさに早起きで誤魔化したつもりだったが、大将がまた泣いちまうんじゃなか?と気になって、こちらに戻ってからも一睡も出来なかったのだ。
薬研「ちょっと、だけ。」
薬研はそのまま布団に潜ると、目を閉じて乱が戻るまで眠ることにした。
この時の薬研は、まさかこれから露天風呂で事件が起こるとは知るよしもなかった。
「お風呂~お~風呂~♪」
七葉は部屋を出るとその足で風呂へと向かった。
確かタオルやお風呂セットは備え付けてあったし、浴衣もわけて整頓されていたので手ぶらでも大丈夫だろう。
曇りガラスに格子の戸を開け中に入ると、静かな脱衣所の室内には外から聞こえる溢れる水の音と、鳥のさえずりだけが響いていた。
「やっぱり、こんな時間じゃ誰もいないよね。」
七葉は、独り言を呟くと服を脱いでかごの中にしまう。
とくに誰に見られている訳でもないが、明るく広い空間に裸は心もとないので、浴着をはおりタオルをもって露天風呂へと続く扉を開けた。