第23章 欲しい物
薬研「で、次はどこに行くんだ?」
さりげなく紙袋を持ってくれた薬研が、次の店の話をする。
「んとね、良いところ☆」
七葉はそれだけ言って、スタスタと直ぐ横へ歩き出した。
薬研「って、ここは、、、」
薬研が入口で呆然と立ち尽くした時、丁度アニメイトヘようこそ~♪の音声が流れる。
「オタの聖地(笑)」
七葉は微笑むと、店内のとうらぶコーナーへと歩いて行った。
「見てみて薬研!薬研の売ってるよ!」
薬研「いや、俺っちのグッズを見せられても嬉しくは、、」
「え?何で?愛されてる証拠だよ?」
薬研「じゃあ聞くが大将は、大将が印刷されたグラスやファイルやボールペン、いるか?」
「わぁ~、いらない(苦笑)」
自分の姿のグッズを想像し、砂を吐く勢いで全否定する。
薬研「だろ?」
薬研はその姿を笑いながら、
薬研「俺っちは外で待ってるから、大将はゆっくり見てこいよ。」
と言って出入口に歩いて行った。
丁度欲しかったCDを買って出口に向かうと、薬研が数名の女の子に囲まれている。
女子1「どうしたの?1人?お家の人は?」
女子2「迷子かな?」
薬研「いや、俺っちは迷子じゃ、、」
女子3「俺っち、だって!可愛い~♪って言うか何だか薬研に似てない?」
女子2「ほんとだ!とうらぶ知っている?刀剣乱舞♭」
女子1「もしかして薬研ファンかな?私も薬研推しだよ!」
薬研「え、、あっ、、、」
珍しく慌てている薬研を遠目から眺めていると、薬研がこちらに気づいてもうダッシュで近づいて来た。
薬研「大将、戻ってきたなら声をかけろ。」
「あっははっ」
薬研に小声で言われ笑っていると、さっきの女の子達もやって来る。
女子1「ご家族の方ですか?」
「えっ、はい。」
女子3「なんだ、買い物してるの待ってただけだったんだね。」
女子2「あの、お姉さん刀剣乱舞好きなんですか?」
女の子は七葉が持っている青い袋でオタと判断したのか、突然切り出す。
「好きですよ!アニメもゲームも♪」
女子2「やっぱり!弟さんが薬研好きみたいだったからそうかなって。」
「一緒に遊んでるから、よく薬研の真似してるんですよ。」
薬研「おい、、」
女子3「だから俺っちだったんだね。ほんと可愛い♪」
女子1「ね!私もこんな弟欲しい。」