第23章 欲しい物
ひとしきり盛り上がって女の子達と別れると、その間ほとんど後ろに隠れていた薬研が、やっと出て来る。
薬研「で、誰が誰の弟で、誰が薬研推しだって?」
怖い顔で睨まれ、七葉は思わず目をそらした。
「だってわざわざ親戚だって訂正するのもなんだし、薬研推しにしとけば薬研が薬研ぽくてもまぁ問題ないかなぁと。」
逃げ腰の七葉に、薬研はため息をつく。
薬研「はぁ、まぁ俺っちも迂闊だったからな。まさか俺っちの正体に気づくやつらがいるとは、、」
神妙な顔で、まるで正体がバレた悪人のように呟く薬研に笑いつつ七葉は答えた。
「でもいくら似てても、普通ゲームから本人が出てきて、まさかアニメイトの前に居るとは思わないよ。せいぜいファンかレイヤーさんかと思うくらいで。」
薬研「いや、俺っちはコスプレのつもりもないんだかな。」
「ふふふ、まぁいいじゃない、本当にバレたらややこしくなって大変だし。」
七葉はそう言うと歩き出す。
薬研は、同じペースで隣を歩きながら次の行き先を聞いた。
薬研「で、次は?」
「ん~、用は済んだし後は少しフラフラかな?」
七葉が後の用事がないことを伝えると、薬研が切り出す。
薬研「なら俺っち見たい物があるんだが、いいか?」
「いいよ、何?」
薬研「その、自分用のマグカップを買いたい。大将の家のマグカップを向こうに持って行っちまったら無くなっちまうだろ?」
「確かに。じゃあ1階に行こうか。マグカップとかが置いてある雑貨屋さんは、1階に多いんだよね。」
七葉が言うと薬研は頷く。
薬研「わかった。案内は任せたぜ、大将。」
「うん♭」
エスカレーターで1階に降りながらどんな物がいいかたずねる。
「薬研は、どんな感じのが欲しいの?」
薬研「そうだな、量が入ってなるべくシンプルなヤツがいい。」
「じゃあ、アンティークっぽいお洒落な雑貨屋さんがあるから、まずはそこから見ていこう!」
薬研「あぁ。」
こうして二人は、近くのお店へと進んで行った。