第2章 結局、
「二口、顔どうした?」
「・・・・すげぇ、腫れてるんスよ」
久々に茂庭さんたちが部活に顔を出した日に俺はマスクをして体育館の隅の方でパイプ椅子に座って練習の風景を眺めている。
青根からも「風邪なのか?」って心配されたけどむしろ喋り出した青根にビビったけどな。
あれから数日後に抜歯して、歯を抜いた翌日は運動は控えるように凛さんが事前に説明してくれたから監督に言って今日は練習を休んでいる。
まぁ、たまには部員の練習風景を見るのもいっか。
前日に抜いた歯の場所は糸で縫われていて舌で軽くいじると血が滲んでジュクジュクしている。
口の中に血の味が広がって気持ち悪ぃ。
あ、弄んなって言われてたんだっけ
あー、つまんねぇ。
「二口歯ぁ抜いたんだってな!」
「鎌先さんも力みすぎて歯を食いしばって折れないように気をつけてくださいね」
「なっ、別に食いしばってなんか・・・」
「今歯ぎしりしてますよね?」
ギリギリと歯と歯を食いしばって聞こえてくる。
歯は食いしばって折れると抜くしかないって凛さん言ってたし、つーか顎の形が不恰好になるらしい。
現に鎌先さんの顔も不恰好だし。
「おめぇ、今すげー嫌なこと思っただろ?」
「あれ? そんな顔してました?」