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毒舌な保健医。

第1章 保健医


『ん…しょ…。』


登りきった達成感に
先生は全くの無関心。


石の屋根の上に足をつき
離れた所で寝転ぶ先生へ近付く


眼鏡を掛けたまま瞳を閉じた
先生を見下ろせば初めて
間近で見たな…と見つめた。


『………似てない。』


兄とは…真逆のタイプだ。


『だーれが、似てないって?』


瞼を開けて私を見上げた先生は
私を観察するように見上げた。


『先生が…兄さんに…。』


『似てたらやべーだろ。』


『………確かに。』


こくっ…と頷けば先生は
呆れた顔でため息ついた。


『やだわー、こんなアホな子。』


『酷い…。』


先生は面倒くさそうに頭を掻いて
あくびを漏らした。


『アホヅラ…。』


『ははっ…殴りてぇ。』


寝転んだまま私の頭を
鷲掴みにし揺らし始めた。


『何詰まってんだこの頭は。』


グラグラ揺らされ
気持ち悪いものが込み上げてくる。


『あわわわっ…。』


『…っはぁ、
さっさと帰れよ。』


『迎え…来る、待たなきゃ…っ』


パッ離された手に
クラクラしながらよろけると
先生は納得したように呟いた。


『過保護だねぇ…
高校生にもなって親待ち…
世も末ってか…。』


『仕事サボる大人もいるし。』


『言うじゃねぇか、ガキが。』


先生はムクっと起き上がり
私を見下ろし眼鏡をかけ直す


『屋上あんまり来んじゃねぇよ
ココ…不良の溜まり場だからな』


『それ先生のこと?』


『俺は一部の不良生徒から
信頼を得てるからいーんだよ。』


それはそれでダメな気がする


私はすこし考えて首を傾げた。


『先生がいる時も…だめ…?』


『俺が面倒だからダメ。』


『どーしても?』


『どーしても。』


先生は頑なとして許してくれない。


この景色が見れなくなるのは
勿体ないので譲りたくない。


『何でも…する、』


『はっ?』


『だから…此処…来たい。』


お願いします…と頭を下げれば
先生はガシガシ頭を掻き始めた。


おっきな溜息、


『こーゆう事されても、か?』


後頭部に手を添えられ
グイッ…と引き寄せられて


先生の唇に自分の唇が
触れる直前で止められた。






『わかんだろ…なぁ?』





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