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フタゴイロ

第3章 とあるお昼休みのお邪魔虫





「人の顔見てため息かよー」

「いや、普通の反応かと・・・」

勘弁してほしい限りである。
なぜ昼休みまでこの顔を見なければならないのか

「で、私に何の用ですか?」

「別にないけど」

ないんかい。

この双子は揃って気分屋である。
それなりに友達も多いだろうに
わざわざ私の方に来なくていいと思う
てか、来ないでくれ。

「何の本?」

「さぁ、適当に持ってきたから」

興味がなくなったのかふーんと適当な返事が返ってくる。


図書室には不釣合いな奏多。
完全に周囲から浮いて見える姿が何だか可笑しく見えた。

「奏多、お昼は食べたの?」

「いや、まだだけど」

何故そんな質問をしたのかわからない。
多分気まぐれだと思う。

「叶多は・・・?」

叶多の名前を口に出せば、奏多の表情が心なしか曇った気がした。
ケンカでもしたのだろうか?
珍しいこともあるものだ。

「知らない」

「そっか」

何だか重たい空気になってしまった。

この空気に耐えてまでここには居たくないので
私は席を立つと、読んでいた本を棚へと戻した。

「私もお昼まだなの。よかったら・・・一緒に食べる?」

「おう!」

途端に笑顔に戻った奏多に思わず釣られて笑ってしまった。

「お前の笑った顔久しぶりに見た気がする」

「っ!?べ、別に笑わないわけじゃないし」

覗き込まれた顔を反らしつつ
しまったと心の中で反省してしまう。

思った以上の恥ずかしさに
奏多に背を向けることで誤魔化す。

「ほら、早く行こうよ。昼休み終わっちゃう」

横に並んだ奏多をチラリと確認して図書室を後にした。



(明日も一緒に食べような!)

(明日からは勘弁してください)


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