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フタゴイロ

第4章 放課後の黒い悪魔





再び無言が続く。
さっきから叶多は機嫌が悪いらしく
一言も喋らなくなってしまった。

もうすぐ家が見えてくるところまで
頑張ったが、時間が経つのが果てしなく遅い。
このまま走って帰ってしまいたいがそうもできないのが
今の一番の問題なのだ。

「ねぇ、奏多のこと好きになった?」

「・・・・・・はっ!?」

喋りだしたかと思えば何を言い出すのだこいつは。
遂にアホになったのか。

「アホはお前だろ」

「心読まないでください」

「で、好きになった?」

「なぜそんな突拍子もないこと聞くんですか
そして何処をどうすればそんな考えになるんですか」

なぜ奏多のことを好きになるのか。
て言うかなんでそんなことを聞いてくるのか本当にわからない。

そんなことを考えているとやっと家が見えてきた。

「ねぇ叶多、なんでそんなこと聞くのか知らないけど
私たち、不本意だけど一応幼馴染でしょ。
そんな気持ちになるわけないよ、絶対ね」

このまま気まずいのも嫌なので
返答を聞くことなく、叶多に背を向けて走り出す・・・

ところだったのだが、

首根っこを引っ張られ、それは叶わなかった。
とりあえず首がちぎれそうだ。

「けほっ・・・な、なんですか」

「いや別に」

こいつ・・・。
恨めしそうに顔を見上げれば
心底嬉しそうに笑う叶多の顔が。

イライラがこみ上げてくるが、後が怖いので引っ込める。

「あの、もう家だから帰りたいんだけど」

「どうぞ」

今回はあっさり放された手に首元を直し
今度こそ叶多に背を向け走り出す。


ついでに明日は休もうと心に決めた。



(今日も一日散々だった)
(明日の昼休みは俺の為に空けとけよ)
(嫌に決まってんだろ)




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