第1章 序章1
萩、秋「行ってきます!」
仕出し料理を包んだ風呂敷を一つずつ持ち
小料理屋を出ていく
ここは、京の一角にある、旅館や飲食店が軒を連ねる賑やかな通り
店先にいるご近所さんと挨拶を交わしながら
秋と一緒に歩いていると
町人たちの声が聞こえてきた
町人1「えっ、ほんとうかい?」
町人2「尾張へ行った行商人が言っていたから間違いない
信長がまた、大きな戦を始めるらしい」
秋「戦・・・」
萩「戦なんてしなきゃいいのにね」
秋の父親は戦で死んだ戦は沢山の人が亡くなるから嫌いだ
しかし時は戦国時代
各国の雄が天下人を目指ししのぎを削るこの時代において
悲しいことに戦は彼らの望みを果たす唯一の手段
秋「こんな時代がいつまで続くんだろう・・・」
萩「ほらほら暗い顔しちゃダメだよ。
これからお客さんの所に行くんだからね」
明るい声で秋に話しかける
秋「うんそうだね、今日も頑張ろう!」
二人は気合を入れ直して勢いよく歩き始めた
ところが・・・・・
ドンッ!!と言う音がして振り返ると
子供が男にぶつかり尻餅をついていた
男「危ねーじゃねぇか!」
子供「ご、ごめんなさい・・・」
後ずさる子供に向かい酔っぱらいの男は手をあげる
萩「ちょ、やめなさい」
?「待て」
萩の声と一緒に後ろから声が聞こえて振り返ると
大勢の伴を連れた男が馬上から酔っぱらいを睨み付けていた
野次馬「あの御旗、尾張の信長じゃねえか・・」
萩「えっ、信長?」