第1章 10年後の現実
「ハイハイ、もうお終いよ?折角、絨毯新調したんだから、汚い血で汚さないでちょうだい」
「いや、もうあの変態オヤジが、倒れた時点でこの絨毯処分決定だろ」
「うわぁ…カエル帽子顔がぐちゃぐちゃ…あ、コイツの名前すみれにしましょう!」
「あん?」
ピキッ。と、すみれの頭の筋の何処かがキレた音がした。
「王子に向かって、毒針撃ってくるとか死刑じゃね…シッシッシッ」
「あーら、ごめんなさいね。堕王子さま」
『堕』を強調して、満遍な笑顔でベルに向ける。
「カッチーン。そんなんだから、男に逃げられるんだよ」
「キサマに何が分かるッッッ!?!!」
珍しくすみれの大きな声、思わず立ち上がった。
「もう、我慢の限界よ。ベルフェゴール、アンタの命このすみれが頂くわ」
「シッシッシッ。やってみろよ」
「わぁー!やれやれぇー!堕王子VS凶暴女」
「困ったわねぇ。すみれったら、1回キレたら止まらないのよ…聖羅とスクアーロは、まだ任務から帰ってこないし…ほぉんと困ったわぁん」
そう、ルッスーリアが話している間にも、ベルとすみれの戦いは、始まっていた。
ベルが、投げたナイフを鮮やかに避け腕から針を飛ばすが、彼もそれを避ける。すみれは、太もものベルトに並んでいる色鮮やかな液体が入っている試験管を手に取り、床に投げつけた。すると、モクモクと黄色い煙が部屋の中に充満した。
「ゴホゴホッ!煙幕?!」
「ピンポーン」
「なっ!いつの間に後ろに!?」
腰に忍ばせてある短刀を手に取り、力一杯に振りかざす。
その時だった。