第1章 10年後の現実
「あれれ?すみれさん寝てますよ?」
「あらん?本当ねぇ…全く困った子ね。風邪引いちゃうじゃない」
「バカは、風邪引かねぇよ…シッシッシッ」
「案外寝顔が、か、可愛いんだな」
「うわぁー。オッサンが、発情してますぅーキモいですぅー」
「溜まってんじゃねーの?シッシッシッ」
「な、なにを言うか!俺は、その…だから!」
「「溜まってるんだ」」
「ちがぁぁぁう!!!」
「レヴィ?そんな大声だしたら…すみれが、起きちゃっ」
ーガンッ!!!
一瞬で、レヴィが壁と1つになった。
「うふふ。少し言うのが遅かったみたいね」
「む、無念…」
レヴィは、そのまま絨毯の上に倒れる。
「うっさいわね…人が、気持ち良く寝てるところに…」
ボサボサの長い髪。眠そうな顔。そんな、すみれを見て、フランが口を開く。
「すみれさん、女捨ててますよねぇー。それで、婚約してたとか疑います…ゲロゲロッ!」
力一杯、フランを拳で殴りつけた。その後に、手首に装着してある暗器を彼に向ける。すると、先端から針が飛び出してフランのカエルの帽子に刺さった。刺さった針の、部分がドロドロと溶けだし始めた。
それを気にしないで、すみれはルッスーリアに髪の毛を結いてと、頼み込む。
帽子を脱いで、確認するとあと1ミリでもズレていたら、頭に刺さって居ただろう。
「あーあ…。こりゃあ、だめだ。聖羅に言いつけてやりますー」
コレ、聖羅が夜なべして作ってくれたんですよー。と、どこかのカエルがほざいている。
「はい、でーきた♡可愛いわよ、すみれ!」
長い髪をポニテに結ってもらい、前髪も目に入らないように三つ編みをしてピンで、とめてくれた。
「ありがとう、ルッスーリア」
んー!と、背伸びをする。
「よく寝た…」
「お前なんか、寝言言ってたぜ」
ベルが、そう言うとすみれは、ふと一瞬過去の記憶がフラッシュバックした。
「あらん?どうしたの?具合でも、悪いのかしら?」
「頭の具合が、悪いんじゃね…シッシッシッ」
ーシュッ!
「今の私、めちゃくちゃ機嫌悪いわよ」
再び、針が飛び出して来たが、ベルは上手く避け、後ろにいたフランの持っているカエル帽子に当たる。
「カエルバリア〜…なんちゃって」