第1章 10年後の現実
〜10年後in日本〜
ここは、ボンゴレ特別部屋。雲雀の部屋だ。風流を感じたいと、すみれのわがままで、小さな庭を作ってもらった。池にかかる、赤い橋に、鯉。
すみれは、この部屋の中ではきちんとした着物姿。橋から、鯉を眺めていた。
そこに。。。
「どうしたの?」
聞き覚えのある、声に振り向くとそこには部屋の主の雲雀が、立っていた。
「恭弥…」
雲雀は、すみれに近付いく。
「また、あの男のことを思い出しているのかい?」
「そうね…何処に行ってしまったのかしら…ずっと…傍に居てくれるって…約束したのに…」
すみれの顔色が曇った。そんな、彼女を後ろから雲雀は抱きしめた。
「恭弥?」
「あんな男のことなんて、忘れればいい。僕が、いる」
「恭弥…私…」
振り向くと、雲雀に唇を奪われる。
「僕が、そばにいる。すみれを悲しませたりなんてさせない」
そう言うと、雲雀はそっと耳元で囁くのだ。
「愛してる、、、僕と、結婚しよう」
「え?でも、私…あの人のことが…」
「僕が、忘れさせるから」
「群れるのは、嫌いなんじゃないの?」
少しだけ、からかっているように笑う。
「群れるのは、嫌いだよ。でも、すみれとなら…」
そんな彼が、可愛く見えてすみれは、雲雀と婚約を結んだ。
シャマルを忘れた訳じゃない。でも、いつまでもクヨクヨなんてしてられない。
さようなら、私が愛した人。私は、恭弥と幸せになる。
そう、心に誓ったのに。。。
結婚式、前日に草壁が慌てて雲雀の部屋にやってきた。内容は、ボンゴレ暗殺部隊『ヴァリアー』に、すみれを寄越せと命令が下った、、、つまりすみれは、もう雲雀と一緒に居られないと言う事。。。
神様て、本当に意地悪ね。
雲雀は、柄にもなく怒っていて、綱吉を咬み殺すと言っているのが、遠くで聞こえていた。けれど、すみれは冷静だった。
「私、行く」
「すみれ?」
「恭弥…ごめんなさい。私…」
左手の薬指にはめていた指輪を取る。
「それは、持っていて」
「え?」
「僕は、けしてキミを諦めない。そう誓った…絶対迎えにいく」
「ありがとう」