第2章 恋が芽生える時
「ごめーん♪手が滑っちゃった♪」
そこには、笑顔が素敵な白髪の男が立っていた。辺りは、ざわついていた。
「あ、アナタはッ!白蘭様っ!?」
「話しは、聞いてないけど、コレはちょっとやりすぎじゃないかな?」
「私は…その、、、その女に、彼を取られそうになったんです!」
「そうなのかい?」
白蘭は、聖羅の顔を見つめる。と、聖羅の頬には涙が流れていた。
そこに。
「なにしてるんだよ」
あかねの頭上から、聞こえてきた愛しい人の声。
「ベル!」
彼女は、ベルに抱き着いた。
しかし、彼の目に一番に飛び込んできたのは、ワインまみれの聖羅の姿。。。
「これ、あかねがやったの?」
「え、だってベルが、私以外の女のこと考えてるから…」
「カッチーン」
ベルは、ナイフを出してあかねに出そうとした瞬間。
「ベルさま!!」
聖羅の声に、動きを止めるベル。
あかねは、真っ青な表情でそのまま奇声を発しながら、パーティー会場から、逃げてしまった。。。
「聖羅、だいじょ…」
「大丈夫かい?頬濡れてるよ、これ使って?」
白蘭から、渡されたのは白いハンカチ。
「い、いえ!白いハンカチなのに、汚れちゃいます」
「キミに持っててほしいんだ♪いつか、また会った時に渡して欲しいんから♪」
聖羅の手を握り締める白蘭を見て、ベルの頬に血管が浮かび上がりそうになる。
「おい、てめぇ王子の女に手、出していいと思ってんの?」
「べ、ベルさま?!!」
『王子の女』頭の中をグルグルと回るその言葉。
「あ、君は確か…ヴァリアーの天才くんだよね。ごめんごめん!この子君の彼女さんだったの?なら、ちゃんと守ってあげないと…」
頬に垂れる赤ワインを舐めとる。
「誰かに取られても、文句言えないよ」
「カッチーン」
本日2回目の『カッチーン』を頂きました。 ベルは、ナイフを投げつけようとした瞬間。
「「そこまでです」」
白蘭と、ベルを遮るように現れたのは、チェルベッロだ。
「ここは、あくまでも宴の席」
「戦闘は、禁止されております」
そう呟くと、ベルはしぶしぶナイフを閉まった。
「白蘭様。そろそろ、会議のお時間です」
「あ、もうそんな時間?残念、また会おうね。聖羅ちゃん♪」
そのまま、白蘭はチェルベッロと共に消えて行った。