第2章 恋が芽生える時
〜聖羅&フラン〜
フランは、けして聖羅の手を離さなかった。
「フラン兄様?!」
「ミーにすればいい」
「え?」
手を引っ張り抱き寄せる。
「ミーなら、あなたを幸せに出来る自信があります。あんな、男なんかやめてしまえばいい」
聖羅は、思わずフランを押し退けて大きな瞳から涙をポロポロ流した。
「そんな、、、そんな簡単に、忘れられるワケないっぺ!ずっと…ずっとすきだったんよ?!ベルさまの悪口言う人は、フラン兄様でも許さねぇだ!!!」
「ん?なんて言いました?」
思わず、ポカーンと口を開けてしまうフラン。そう、聖羅は感情が、高ぶると思わず方言が出てしまうのだ。。。
「許さねぇだ…絶対…」
「わ、わかりました…ミーが、悪かったです。でも、ミーの気持ちもわかってください」
頬に手を添えて、涙を拭いてくれた。
「フラン兄様…」
「ミーは、何か料理を取ってきましょう!なにが、食べたいですか?」
「マカロン…」
ずびびぃ。と、鼻を啜りながら食べたいものを要求する聖羅。フランは、聖羅の頭を撫でる。
「わかりました。じゃあ、そこの椅子に座ってて下さい」
食事は、バイキング感覚で行われている為取り放題なのだ。
フランが、見えなくなったのと同時に。。。
「ちょっと」
ふと、呼ばれた方を向くそこにはベルの相手である『あかね』が、ワイングラスを持って立っていた。
本音は、この女が憎い。でも、それじゃあタダの逆恨み聖羅は精一杯の笑顔で反応する。
「なんですの?」
「アンタ、ベルとはどーゆう関係?」
「え?ただの後輩と先輩ですわ」
「へぇーでも、ベルはそういう感じじゃないのよね」
「…え?」
不覚にも、一瞬嬉しそうな表情をしてしまった。
「あ、嬉しそうな顔した」
「そ!そんなことありませんわ!」
「ふーん」
あかねは、持っていた赤ワインを聖羅に勢いよく掛けた。
「あ、ごめんなさい!手が滑ったった」
てへ。と、舌を出して軽く謝るあかね。ピンクと白の可愛らしいドレスが、赤ワインの色に染まってしまった。
「でも、ベルは渡さないから」
ーパシャッ
「きゃあっ!」
あかねは、声をあげた。
振り向くとそこには。。。