第2章 恋が芽生える時
〜パーティー前日〜
結局、アレからベルと聖羅は1度も話していない。。。
聖羅の中に、黒いモクモクした雲のようなモノが充満していた。
「ら!…ら!聖羅!!!」
「はっ!ん?な、なぁに?すみれ」
明日のパーティーに、着ていくドレスを選んでいた2人。。。ヴァリアー邸の、多すぎる部屋の一つにドレスルームがあり、どれも特注で作った、世界で一つのドレスばかり。
すみれは、フワフワとした黒のレースを選んで試着していた。
その時に、後ろのファスナーを上げて貰おうと聖羅を呼んだ。が、彼女は最近上の空。。。
理由は、わかる。しかし、なんて声を掛けていいかわからなかった。
呼ばれた聖羅は、慌てて彼女のドレスのファスナーをゆっくりと、上げていく。
「聖羅?」
「なんですの?」
「私も、愛だの恋だの語れるほどいい恋愛してないけど…その…えっと…」
「ふふ、ありがとうですわ。」
「え?」
「わたくしのことを気にしてくださっているのでしょ?」
「ま、まぁ…そうかな」
「わたくし、諦めませんわ!いつか、わたくしのことを手放せないようにしてやるんですわ!」
「私は、アナタの味方だから」
振り返り聖羅をギュッっと、抱きしめた。
「ありがとうですわ」
そこに、軽くノックの音が聞こえてきた。
「ゔぁぁぁぁあい!入るぞ!!」
「決まりました?」
中に入ってきたのは、スクアーロとフラン。
スクアーロと、フランは紅いシャツに黒のネクタイに、白い背広を身にまとっていた。
フランの歪なネクタイと、ボタンを第3まで開けているスクアーロに、ため息をつくすみれ。
「ボタンぐらい、ちゃんとしなさいよ」
すみれは、スクアーロのボタンを閉めてやる。
「す、すまねぇな」
「いいえ、聖羅フランのネクタイも、直してあげて」
「はーいですわ!」
ちょっと、動かないで下さいね。と、ネクタイを結んでやる。
「アレ?聖羅は、まだドレス決めてないんですか?」
「可愛いのが多くて、迷ってしまいますわ」
よし、出来た!と、ネクタイを綺麗に結べた。
「なら、ミーが決めてもいいですか?」
「え?」