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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第4章 恋の試練場


この時代に来て、初めての鍋料理は、愛の心をすっかり温めていた。
三成とは、一番何でも話せるけれど、こうして食卓を囲むように接すると、
鍋からひと掬いするのでも不器用で、愛がその度に甲斐甲斐しくよそってあげた。

そんな時間ですら、とても楽しくて、2人の笑い声が絶えることはなかった。
店の奥で二人の様子を見ていた主人は、こんなに微笑ましい姿を初めて見せる三成に驚きながらも、
(良きお相手を見つけたのですね…)と心の中で自分も幸せにな気持ちになっていた。

「三成くん!とっても美味しかった!!
でも、全部払って貰っちゃってごめんね?」

と愛が申し訳なさそうに言うと、

『私がお誘いしたんです。今日はそのような事気にしないでください。
私は、金銭では得られないものを頂いているのですから』

と笑いながら、また愛に手を差し出す。

(三成くんて、本当悪気なく照れる事サラっと言うから、ちょっとドキドキしちゃうな…)
そう思いながらも、差し出された手をそっと握る。

色々な露店や、店を出入りし、その度に店主は三成を快く迎え入れ、
一緒にいる愛を見て、さらに顔を綻ばせる。

(三成くんて、部屋に篭ってばかりのイメージなのに、こんなに城下に顔見知りいるんだ)
何時もの三成とのイメージとかけ離れた、別人のように見えた。

だいぶ時間も過ぎたころ、
『愛様、お茶でも頂きましょうか』と、三成が声をかける。
「うん!」と愛が微笑む。

そんなやり取りが普通になった頃、城下では、
石田三成が可愛い姫君との逢瀬をしているらしい、
いや、あれはもう祝言が近いらしい、などと噂話が広がるほどになっていた。

茶屋で、甘味とお茶を飲みながら、もうだいぶ傾きかけた陽の光を2人で見ていた。

「三成くん、今日は本当にありがとう。
とっても楽しかった!」

愛がそう言うと、三成は少し目元を赧らめる。

『陽が…』と言いながら、愛の頬に触れた三成に
愛は目を丸くする。

「ど、どうしたの?」

『あ、すみません愛様、陽の光が凄く綺麗に愛様を照らしていたので、
つい見惚れてしまいました…』

と、焦って手を引っ込める。

「三成くんもお日様にすっかり染められてる」
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