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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第4章 恋の試練場


そんな状態を全て眺めていた信長が、すこし呆れたように口を開く。

「おい愛。貴様は自由にしていれば良い。
何にも振り回されることはないぞ』

その言葉に漸く顔を上げてみると、三成以外は皆、若干のバツの悪そうな顔をしていた。

「はい。ありがとうございます。」
そう言うと、三成をチラと見る。

三成はすでに愛を見ていて、目が合えばニッコリ笑った。

(あー、やっぱり癒される…)

そう思うと自然に笑顔になれる愛。

この鈍感な2人は、それが負のスパイラルだという事には気づいていない。
それぞれの思いが渦巻く広間の朝餉は、まだ少し終わらなそうだ…




(全然食べれなかった…)

あの緊張感の中では、本当に喉を通らず、初めて政宗の料理を残してしまった。
女中に言付けて、残りを部屋に回してもらうようお願いしておいた。

(政宗は知らないから、悪い事したな…)

ご馳走様を告げた時の、政宗の少し哀しそうな目を思い出す。

(あとでちゃんと部屋で食べたって言おう。)




愛は、広間から出た後、一旦天守に戻った信長を訪れていた。

「失礼します。愛です。」

中からの返事を待つ。

『愛か?入れ。』


おずおずと襖をあけ中を見渡すと、信長は寛いだ表情をして愛を迎え入れた。

『どうした。座れ。』

「はい…」

信長の前に座り、愛はもじもじしている。
そんな様子を楽しんでいるように見える信長。

『今朝のことか?』

言い出せないでいる愛を促すゆったりとした信長の声は、
いつもの厳しさはなく、愛の緊張を解すようだった。

「はい。あの…
明日から、夕餉以外は部屋で取ってはいけないでしょうか…」

『なぜだ?』

(なぜって…)

「私が…私が皆さんといると、空気が悪くなる…というか、
家康さんには相当嫌われてるみたいですし…
秀吉さんも、私を呼びに来なくて済みますし…
最初の頃は感じなかった皆さんのピリピリした感じって、
絶対私のせいですよね。」

『愛、貴様は本当に面白い。飽きぬやつだ』

と、信長は笑い出した。

「笑い事じゃありません!」

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