第4章 恋の試練場
「え?!政宗…朝から宴でもする気だったの?!
すごい豪華なんだけど…」
困惑気味に愛が言う。
『ほんと、気合入れすぎでしょ…朝からこんなに食べるわけないでしょ…』
家康は並べられた料理を見て溜息をつく。
「うるせーな、別に食いたくなきゃ食うな。
俺は愛のために作ってんだ。」
そういうと、光秀、秀吉、家康の3人は、キッ!と鋭い目線を政宗に送る。
(な、なにこれ…怖いんですけど…。
仲良いのかなって思ってたけど、やっぱり武将だもんね。
馴れ合いとかしないだろうし、最近なにか動きでもあるのかな。
早く部屋に戻りたい…)
上座からの
『朝から騒々しい。早く食え。』
という信長の一言で、漸く朝餉がはじまった。
「はぁ…」
ため息を一つ着くと、愛は小さな声で
「いただきます」と言い箸を上げた。
その溜息を聞いた三成は、心配そうに愛を覗き込み、
『愛様、大丈夫ですか?さっきから溜息ばかりですが…
どこか苦しいところがあるのでしたら、家康様に…』
と声をかける。
「え?あ、や、全然!すごい元気!うん。
さぁ、三成君も食べよ?ね?
あ、あそうだ、今日、城下行くの楽しみにしてるね!」
と、言ってしまい、愛はしまった!と口を抑える。
そんなことには気づかない三成は
『大丈夫なら宜しいのですが。
はい!今日は折角ですから沢山楽しみましょう!』
と屈託のない笑顔で言い、いただきます、と食事に手をつけていく。
(うぅ…三成君と出掛けること、誰にも行ってなかったんだった…顔あげるのが怖い…。)
愛は誰とも目を合わせないようにして食べだす。
ただ、突き刺さるような視線だけはどうしても感じずにはいられなかった。
(なんで、みんなこんなにピリピリしてるんだろう。
戦国時代では、私みたいな方が珍しいのか…
本当に三成君いてくれてよかった…)
そう思いながら食べる食事は、あまり喉に入っていかず、
味ももはやよくわからない。
政宗の料理だから、美味しいに決まってると思っているのだが、
その政宗の顔も見れない。
(昨日は急にキスするし…なんなんだろう。
もっと揶揄われないように、注意しないとな。
三成くんの側にいれば安心だけど、あんまり迷惑かけてもね…)