第4章 恋の試練場
〜信長〜
本能寺で俺を助けた、五百年後から来たという愛。
あやつは、不思議な女だ。
居るだけで、運気を運んでくる香りがする。
この俺の女になれと言っても拒む変わった女だが。
そんな女は今まで会ったことがないが、五百年の後には当たり前なのだろうか。
しかし、あやつを城においてからと言うもの、周りが騒がしい。
あいつらを早くも虜にしているという話だが、人の心をも動かす力をもっているのだろう。
1人の女に執着しない政宗や、色恋に興味が無さそうな家康まで、愛の事となると
むきになっておる。
この前はあの光秀の顔をも綻ばせていた。
世話焼きの秀吉は気が気ではないだろうな。
愛があの者たちにない物を与えているとするならば、
それだけでここに置いた意味がある。
翻弄されるな。
良い風を吹かせよ、愛。
全ては天下布武を成し遂げるために必要なことだ。
成し遂げた暁には、天下人の女となるが良い。
今は周りの者に振り回されているとしても、
お前はこの俺の元から離れなくなるだろう。
いや、はなれなくさせてやろう。
もし貴様が望むのであれば、俺の全てをくれてやろう。
見間違うなよ愛。
ただ、今はお前の力であの者たちに教えてやれ。
何かを成し遂げた先にある、本当に大切なものを。
貴様が何をしようが自由だ。誰のものかを忘れさえしなければな。
しかし、愛を束縛するのは難しいだろうな。
無理に束縛すれば、運気をさげるだろう。
他に渡さないように、貴様の目が移らぬようにしてやるまでよ。
覚悟しておけ。