第25章 合わせ鏡(三成)
一段と夜更の凛とした寒さが包むころ、
三成は全てをぶつけるように何度も求めて、
攻め立てた愛の静かな寝息を聞いていた。
「愛様…」
子供のようにぐっすりと眠る愛の髪を
起こさないようにゆっくりと撫でる。
「あなたは…きっと私の鏡のような存在なのです…」
目の前で寝顔を見ていても、すぐに思い出せる
愛の笑顔、拗ねた顔、驚いている顔…
「そしてその一つ一つが全て愛おしいんです…」
三成は自分が自然に微笑んでいることに気付いた。
…ちゅ……
今日何度も触れた、その髪に口づけをする。
「愛様…
未だに私は、貴女と不釣り合いではないかと不安になるのに
そのたびに貴女は私が必要だと教えてくれる。
貴女がいないと、とても不安なのは…
自分がどこにいるのか見失ってしまいそうになるから…
貴女と言う鏡に自分を映していないと
どうしようもなく不安になるんです…」
三成は心に募る想いを、寝ている愛に向けて
そっと吐き出していく。
「これからも、私は貴女と共に生きていきます。
どうか離れないで…私だけを愛して下さいね…」
そう呟くと、三成はもう一度、
今度はその額に口づけを落とした。