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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第25章 合わせ鏡(三成)


三成と愛は、少し気まづく食事をする。
でもそれは、さっきまでのモヤモヤしたものではなく、
どこか甘酸っぱい雰囲気を残してしまった故のものだった。

「三成くん…おいしい?」

目の前の豪華なお膳の味も
なんだかよくわからない。

この空気を少しでも和らげようと愛が三成に訊いた。

「はい…でも、私には愛様が作ってくれる
料理の方がずっと美味しく感じてしまいます…」

そう目元を赤らめて言い放つ三成に
隣にいる愛はドキドキがおさまらない。

「そ、そんなこと言ったら、
旅館の板前さんに失礼だよ?」

「いえ…でも本当の事なのです」

今度は真剣な目で愛を見つめて主張する。
ムキになった子供のような反応に、
愛はつい吹き出してしまう。

「ふふっ…ありがとう。
三成くんにそう言ってもらえて嬉しいよ?」

少し柔らかくなった空気の中、
二人は和やかに食事を進めた。


すっかりお膳も片付けられると、
女中が寝間の準備を整える。

「愛さま」

三成は宿の羽織を愛にかけながら名前を呼んだ。

「どうしたの?お部屋あったかいよ?」

愛は不思議そうに三成を見つめる。

「用意ができるまで、少し月をみませんか?」

そう言うと三成はにっこり笑って
愛を縁側に誘った。

「うん、冬の夜空は綺麗だからね…」

嬉しそうに三成の腕をつかむ。


二人は暖かい格好をして
凛と冷えた縁側に出た。

『どうぞ。お使いください』

その様子に、女中の一人が火鉢を置いてくれた。

「ありがとうございます」

三成は礼を言うと、障子をしめる。

「愛さま…」

愛の腰を自分に引き寄せると、
そのまま髪飾りに触れた。

しゃらん…

「今朝は…すみませんでした…」

「え?」

「とても似合っていたのです…貴女に」

愛は、それが今朝出がけに外された髪留めのことだと悟る。

「じゃあ…どうして…」

「すみません…」
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