第25章 合わせ鏡(三成)
(あーあ…やっちゃったなぁ…)
愛は一人部屋に戻りため息をつく。
「せっかくクリスマスに二人でいられるのに…」
ついつい感情に任せてぶつけてしまった言葉に後悔をする。
「三成くんに悪気なんてないのに…きっと」
しょんぼりと髪を梳かしながら、
今日なんども髪を梳かれた事を思い出す。
それはとても優しい三成のぬくもりだった。
「謝らなきゃ…びっくりしただろうな…
嫌われちゃったらどうしよう…
全然戻ってこないし…」
今まで恋人になってから、こんなに想いをぶつけたことはなかった。
髪を整え、三成からもらった髪飾りを手にする。
しゃらん…
揺れるたびに軽やかな音が響く。
(あの時…なんて言おうとしたんだろう…)
簪屋で言葉の先を止めた三成を思い出す。
ぼんやりと、そんなことを考えていると、
シャッ!
勢い良く部屋の襖があいた。
「愛様!」
「三成くん?」
勢い良く入ってきた三成に驚いていると
急に強く抱きしめられた。
「三成くん…どうし…んんっ」
言葉を遮るように、乱暴な口づけに襲われた。
いつもの三成からは想像のできないような口づけに
愛は必死に逃れようともがく。
「んっ…はぁっ…ちょっと…んんっ…どうしたのっ…ん」
逃さまいと、うなじを掴まれる。
「だめです…逃げないで…ん…くちゅ…っどこにも行かないで…」
泣きそうな声で口づけの合間に放つ言葉に愛は驚いてしまう。
「ど…ゆこと…っ…どこにも…いかないから…っ」
逃げるのをやめて、今度は三成の背中に手を回す。
そしてゆっくりとその広い背中を宥めるように撫でた。
「大丈夫だから…はぁ…はぁ…落ち着いて…ね…?」
その声にようやく抱きしめる腕の力が弱まる。
「ほら…ここにいるから…大丈夫だよ?
三成くん…大丈夫だから…」
「愛様…」
ようやく、三成の身体から解放された。