第4章 恋の試練場
〜家康〜
あーあ。またあんな暗い顔して。
大方、光秀さん辺りにまたからかわれて、落ち込んでるんでしょ。
あんなの、適当に受け流せばいいのに。
くそがつくほどの真面目だな、愛は…
愛のあんな顔ばっか見てらんない。
あの子は…まぁあれ。笑ってる方が…まだ、マシでしょ。
この場面で俺が笑わせる事はできないだろうけど。
あ、ワサビに会わせればもしかしたら…
でもそれには御殿に誘う必要があるか。
特に用もないし…無謀だな。
ん?政宗さんか。
愛の髪の毛をクシャクシャしてるのは。
そういえば、最近秀吉さんがああやってるの、みてないな。
珍しい。
ていうより、他のやつら…特に政宗さんと光秀さんの行動が早いからか。
まさか、あの秀吉さんに、世話を焼く隙を作らせないなんて。
…なっ?!
今、政宗さん、なにした?
愛に口付けたように見えたんだけど…。
なに愛も真っ赤になってるの。
はぁ…苛々する。
いろんな男にちょっかい出されすぎ。
ん?なんで俺が怒ってるんだ?
別に愛の事なんて、どうでもいい…
最近、こういう事多い…。
気付くとあの子の事見てる。
でも一番気にくわないのは、こんな時は必ず…
ほら、やっぱり。
なんで愛になんかあるとその後、必ず三成が居るんだ?
偶然通りかかってるのかと思ったけど、違う気がする。
こんなに運良く毎回毎回なんておかしいでしょ…
最近なんて、愛自ら三成のとこ行ってるみたいだし。
秀吉さんからあの役奪うっていう手腕は、流石参謀なだけあるのか…
まぁ認めないわけではないけど…赦さない。
誰がかまってても、凄い腹が立ってくるけど、あいつと一緒に愛が居るのを見るのが一番苛々する。
くそっ…こんな事なら、信長様の言う通り、俺の御殿に住わせれば良かったんだ。
秀吉さんが阻止した時は、ちょっと助かったって思っちゃったけど、
あれって、きっと、自分の目に見えるとこに愛をおきたかっただけだよね。
なんで気づかなかったんだ…俺の馬鹿。
あ、愛が三成と庭を見ながら話してる。
なにあれ。さっきまでの暗い顔や真っ赤な困った顔どこ行ったの。
三成にあんなに優しく笑って…
次は絶対俺が愛を笑顔にしてあげる。
覚えといて。