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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第25章 合わせ鏡(三成)


(三成くん…急にどうしたのかな?)

馬を降りてから、ずっと三成に手を握られている。
さして珍しい事もないのだが、いつもより強く握られている気がした。

「あ、愛様、少しここを見たいのですがよろしいですか?」

そう言って立ち止まったのは
色とりどりの簪や髪飾りを売っている高級店だった。

「え?ここ?」

「はい、今朝は髪飾りを外してしまいましたが…
やっぱりこのお着物にはあった方が良かったかと思いまして」

そう言うと、三成は愛の手を引きどんどん中に入っていく。

(どういうこと…??)

まったく読めない三成の行動に驚きながら
引かれるままに店内に入っていく。

『いらっしゃいませ旦那様。
奥方様への贈物ですか?』

愛想の良い主人に出迎えられた。

「ええ、今日の愛らしい着物に合う髪飾りを」

三成は動じることなく和かに返す。

(私たちって…夫婦に見えるのかな?
ちょっと嬉しいけど…三成くんは当たり前みたいな感じだし…)

少しにやけてしまう頬を一生懸命隠そうとするも

『奥方様も嬉しそうで何よりです』

主人に見抜かれてしまった。

「で、でも…こんな高そうなものは…」

うろたえている愛に、
三成のエンジェルスマイルが舞い降りる。

「私が選びたくなったのですから、お気になさらず」

心なしかその目元は赤く染まっているように見えた。

(な、なんだかよくわからないけど…
三成くんが楽しんでくれるならいいか)

三成は何個も何個も愛にあてがっては唸り声をあげる。

「み、三成くん…そんな悩む…?」

あまりにも真剣な様子に、声をかける。

「悩みます…どれを合わせても
愛様に似合い過ぎて…どれも愛らしい…
こんな愛らしい姿を他の男も見るかもしれないと思うと…」

(さらっと恥ずかしいこと言う!)

ふと店の主人を見ると、微笑ましいと顔中に書いてある笑でこちらを見ている。

「元が元なので…髪飾りくらいでそんな…」

三成はまるで読書をしている時のような集中力で
愛の言葉もあまり耳に入っていないようだった。



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