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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第25章 合わせ鏡(三成)


「愛様、準備はできましたか?」

部屋の外から三成が声をかける。

「あ、うん、すぐ行くからまってて?」

「わかりました。では馬を回しておきますね」

「ありがとう」

三成が遠ざかる足音を聞きながら、愛は鏡に向かう。

「よし、こんな感じでいいかな?」

道中の邪魔にならないように結い上げた髪をチェックする。

「あ、そうだ…この前信長様
頂いた髪留め…あった!
ふふ…三成くんかわいいって言ってくれるかな…」

着物の色に似合う髪留めを取り出し頭につける。

「よし!今日は全力で三成くんに楽しんでもらおう!」

今までの悩みは一旦しまいこみ、愛は足取りも軽く玄関げ向かう。

「三成くん、お待たせしました」

「愛様、お待ちしていましたよ。
今日も素敵な着物…」

そこまで言うと、三成は言葉を止める。

「愛様、その髪飾りは…」

(あ、やっぱり気づいてくれた!)

褒められると思い先に笑みが漏れる。

「道中の邪魔になりそうなので、外していきましょう」

「え…?」

言うが早いか、三成はそっと髪留めを取ると女中に渡す。

「では、行きましょうか」

すぐにいつもの三成に戻ると、女中たちに留守を頼む。

(なんで…三成くんのためにお洒落したのにな…)

髪留めを外されて少し乱れた髪を手で整えながら
三成の後に続く。

さっき閉じ込めた思いが少しずつ戻ってくる。

「行ってまいります…」

笑顔で見送る女中たちに頭を下げ、先に馬にまたがっていた三成の手を取る。

「それでは参りましょう」

弾んだ声の三成と反対に、愛の気持ちは沈み込んでしまう。


(だめだめ…こんなことくらいで落ち込んじゃ…
今日は三成くんと一緒に居ることを楽しまなきゃ…)

「三成くん…」

愛は出来る限りの笑顔をつくり振り返る。

「どう…しました?」

「今日は…素敵な日にしようね」

「ありがとうございます。
はい、そうしましょうね」


愛の様子に少しだけ違和感を覚えながらも、
五百年後の世で愛が大切にしている日を
自分との特別な日にしてくれた事に感謝をこめて頷いた。
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