第25章 合わせ鏡(三成)
「あ、三成くん、おかえりなさい」
愛は笑顔で三成を迎え…たつもりだ。
「ただいま戻りました…愛様?何かありましたか?」
「え?」
「いえ…心なしか元気が無いような気がしたもので…
体調が良くなかったら無理せず休んでくださいね」
(いけない…三成くんに心配かけちゃった)
「ううん、大丈夫だよ!
どこも悪く無いから」
「そうですか?それならいいのですが…
もし具合が良く無いのなら明日は…」
「大丈夫!明日は三成くんとおでかけできるの楽しみ!」
「はい!私もとっても楽しみですよ」
(気のせいだったでしょうか…愛様はすぐ無理なさるから…)
「ご飯できてるから、一緒にたべよ?」
「はい!では着替えてきますね」
三成が着替えている間に夕餉の用意を済ます。
(だめだめ…行くって決めたんだから
三成くんにはいっぱい楽しんでもらわないと)
すっかり夕餉の膳が整った頃、三成は着替を終えて戻ってくる。
「とてもいい匂いですね。
毎日ありがとうごいます」
そう言って笑顔で愛の隣に座る。
「ふふ…三成くんがご飯楽しみにしてくれるようになって嬉しいよ」
出会った頃は食べるのを忘れるほど食に無頓着だった三成も
愛が作る夕餉を毎日嬉しそうに食べてくれるようになった。
「貴女がしてくれることは、なんだって嬉しいですよ?
それでは、いただきます…」
なんだって…かぁ…
私も三成くんが考えてくれた事なら…
「ねぇ?明日は少し早く着くと思うから、
宿に着く前にしたい事とかある?
近くに紅葉の綺麗な場所もあるみたいだよ!」
三成はもぐもぐと咀嚼をしきると、笑顔で愛を向く。
「愛様が見たいのなら是非行きましょう。
私は貴女といられたらそれで十分なので」
「そっか…じゃあ寄ってみようか…」
いつものエンジェルスマイル。
それさえも、そう言われてしまうと複雑な気持ちになる。
「三成くん、私としたい事とか…ない?」
「え?」
少し声に元気がないように感じた三成は
驚いたように愛を見る。
「いえ…私は大丈夫です、
愛様がしたい事教えてください」
笑顔でそう答えると、再び食事を口にはこぶ。
「そっか…わかった、考えておくね」