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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第24章 麦と真珠(政宗)


「ぁ…んん…」

身体中に甘噛みされ、頭の中が甘く痺れる。

「まさ…むね…」

愛は政宗の頭をかき抱くように手を這わせた。

「もっと呼べ…一晩中呼んでろよ…」

甘噛みをしながら、時折強く口付けては花びらを咲かす。

「んんっ…」

その度に愛は、ぴくんと身体を震わせる。

「おい…呼べっていってんだろ…」

名前がうまく呼べないと、わざと敏感なところに吸い付く。

「あっ…まさむねっ…ん…すきっ…」

「…っ…」

甘い声の隙間に名前を呼ばれる。
もっと呼んでほしいのに、呼べないくらいの刺激を与える。
矛盾しているとわかっていて追い詰めて行く。

もう何度呼んだのかわからない。
熱に侵されてうわ言のようにその名を呼ぶ。

呼びたくて堪らなかった愛しい名前を。
呼びたいのに、声にならないもどかしさ。

「く…溶けそうだ…」

いつも余裕ばかりの政宗が
今自分を求めてその余裕を手放している。
それだけで幸せ。

「もう…溶けてる…まさむ…ね…っ」

呼ばせたのは失敗だったか…
でも、ずっと聞きたかった自分を求める声を。
その声を独占できる幸せ。

自由なはずの身体は、政宗という鎖に全身を絡め取られる。
身体は自由だけれど、心はとっくに縛られているのだ。

月の灯りが薄れ、漏れる光が強まる頃に
漸くその身体だけは解放された。




「はぁ…大丈夫か…」

漸く発した気遣う声も、もう届かないところに愛はいる。

「大丈夫じゃ…ねぇか…」

ふっと笑みをこぼして、隣でぐったりとする愛しい人を眺める。

「お前が悪いんだぞ…優しくしなくていいなんて言うから…」

ふと耳をすませば、小鳥の鳴き声が聞こえる。
一体どれだけの時間抱いていたのか…
我ながら大人気ないと思う。

手を伸ばして、頬に張り付いた髪をよければ、
ぴくっと小さく震える。

「敏感なお姫様だな……ふっ」

もう意識のないその身体を抱き寄せてすっぽりと胸に抱きしめる。

「まだ…言ってなかったな…ただいま…。ん?」

政宗の声に反応して、その顔がにっこり微笑んだように感じた。



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