第24章 麦と真珠(政宗)
『あらあら…おかえりなさいませ』
御殿に到着すると、迎えの女中たちに囲まれた。
「もうこのまま部屋に入るからな、朝まで人払いしておけよ」
わざと大きい声で言う政宗に、腕の中の愛は真っ赤になる。
「な、な…なにを…」
「ん?どうした?何を想像してんだ?
顔が真っ赤だぞ?」
その表情を楽しむように、くつくつと肩を揺らす。
「ばか…」
ーーシャッーー
勢いよく襖を開けると、すでにそこには褥の用意がされていた。
「お?準備がいいこった」
ぱふ…
愛をそのふかふかな布団に降ろして
有無を言わさずのしかかるように上になる。
「ほら、何想像してたんだ?言ってみろよ」
未だ楽しそうに顔を近づけ、恥ずかしがる愛を楽しんでいる。
「もう…!からかわないでよ…」
必死に押し返そうとするも、ビクともしない政宗。
「ほら、そんなんじゃ全く抵抗になってないぞ?お姫様」
散々愛をからかった政宗は、
ふっとその身体を離した。
「政宗…?」
急に解放されて、腑抜けた声が出る。
「着物…かけないとな。皺になる。ほら…」
そう言うと愛に手を差し伸べ優しく抱き起す。
「宴には着て行くもんじゃないないな…
いつ酒をかけられるかと気が気じゃなかった」
そう言うと、政宗は丁寧に着物を脱いだ。
(気に入ってくれてるんだ…)
嬉しくなってニコニコと政宗を見つめていた。
「なんだ?そんなに俺の裸が見たいのか?」
意地悪く笑いながら着物を掛けて、夜着を羽織る。
「ちっちが…」
「違うのか?俺は早く見たいぞ…お前の裸」
そう言いながら帯に手をかける。
「ちょ、ちょっと、これも皺になったら大変だから…」
慌てて政宗から距離をとり、
「着替えてくるね」
そう言うと隣の部屋へと消えて行く。
「ふ…帰ってきたんだな…」
出かける前となんら変わらない愛の仕草に
政宗は柔らかく目を細めた。