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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第24章 麦と真珠(政宗)


『愛様!!』

ある日針子部屋に入ると、小夏が興奮して近づいてきた。

「どうしたの?そんなにはしゃいで」

その手には一通の文が握り締められていた。

『帰ってきます!帰ってきますよ!』

日吉からの手紙に数日後に現地を発つと書かれていると
小夏が大はしゃぎしているのだ。

「うんうん、知ってるよ、長かったね。
こなっちゃん、頑張ったね」

信長より直々に、隊が勝利し引き上げることを聞かされていた。
同じ従者が持ってきた手紙だから、同時に小夏も知ったのだろう。

『愛様が知らないわけないですよね…
すみません…』

小夏が恥ずかしそうに笑う。

隊が到着するのはまだもう少し先だ。

「あと十日以上はかかるか…
さて、気合い入れて着物を仕上げないとね」

なかなかに難しい図案にしてしまった着物は
まだまだ完成には程遠い。
けれど、帰ってくるまでには必ず仕上げる。
それは、政宗が、隊のみんなが無事に帰ってくるための願掛けだから。


無事勝利……

その報告を受けた。
気持ちを抑えてるつもりだった。
けれど、信長から聞かされたその時、
愛の目からは自然に熱い気持ちが溢れ出た。

(やっと帰ってくる…神さま、最後まで政宗をお護りください…)

一針一針に願いを込めた。
秋の夜空を閉じ込めたその着物。
もうすっかり季節は変わってしまったけど、
気持ちはあの十五夜の日から変わらない。

「帰ってきたら笑顔で迎えようね」

そう小夏に言いながら、自分に言い聞かせた。
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