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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第24章 麦と真珠(政宗)


今日も愛は着物を縫う。

城の仕事も、自分の仕事も落ち着いている今は
昼間も針子部屋で刺繍を縫っていた。

『すごいですね…相変わらず…』

小夏がうっとりとその刺繍を見てため息をつく。

「そう…かな…」

少し恥ずかしそうに愛が応える。

『私もいつか、日吉様を待っている間にこんな着物が縫えるようになりたいです!』

無邪気に小夏が答える。

日吉と文のやりとりを始めてから、
小夏はすっかり元気になっている。

安否がわかるだけで少なからず気は紛れるだろう。
愛も日吉からの手紙の報告を受ける事で
政宗の安否を確かめられていた。

『濃紺の生地にお月様…本当に政宗様にぴったりですね。
こちらは…星…ですか?』

繊細な刺繍で夜空を描く。
あの日見た十五夜の空を想いながら。

「そう、これはね…夫婦星っていう星なの」

更に恥ずかしそうに愛が説明する。

『夫婦星…ですか…初めて聞きました』

「ふふ…そうだよね。
こっちが旦那さんの星で、麦星っていうんだよ。
秋の収穫の頃綺麗に輝く星なの。
それで、こっちが真珠星。奥さんの星」

優しく刺繍を撫でながら愛が説明する。

『真珠…?』

「うん、真珠っていうのは、貝の中で育つ宝石でね、
七色に輝く白いまん丸の石なんだよ」

『へぇ!素敵ですね!』

小夏は目をキラキラさせて愛の話を聞く。

『じゃあそれは、政宗様と愛様ですね』

少しいたずらっ子のような笑顔を見せながら小夏が言う。

「え…?でも、政宗はどちらかというと
この満月の方じゃないかな?」

すると全てを聞いていた佐江が口を挟む。

『でも、政宗様はやっぱり麦星になりたいんじゃないですか?
きっと、愛様と並んで輝きたいと思ってますよ』

そう言うとクスクスと笑う。

(そうなのかな…政宗も私の隣がいいって言うかな…)

自然と顔が優しく緩む。
まるで愛しい人が目の前にいるように。

もうすぐこれが仕上がれば、政宗はまた隣に帰ってくるから…
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