第24章 麦と真珠(政宗)
政宗はそのまま城を抜け、馬の前で愛を下ろす。
「ほら、乗るぞ」
颯爽と跨ると、愛に向かって手を差し出す。
「もう…何処行くのよ!」
口を尖らせながらも政宗の手をとる。
「さぁな。特に決めてねぇな」
愛を抱えて馬に乗せると、そのまま馬を走らせる。
「え?決めてないって?」
不思議そうに政宗の顔を見上げる。
「いい陽気だから、お前と一緒に居たくなっただけだ。
ほら、しっかりつかまって前見てろ。速度上げるぞ」
ぎゅっ…
政宗にしがみつきながらも進行方向をしっかり見据える。
その顔には恐怖は見られない。
それどころか楽しそうに口元を緩ませている。
そんな愛を嬉しそうに見ながら
「お前、すっかり俺の馬に慣れたな。
最初はあんなに怖がってたくせに」
そう言って笑う。
「ふふ…だってどうしたって速度出すんだから…
それに、政宗と一緒なら絶対安全てわかってるから」
そういうと、柔らかな表情でクスッと笑った。
「ふっ……さすが俺の女だな」
政宗も自然に笑みがこぼれる。
「よし、もう少し上げるぞ」
そういうと、更に速度を増してかけていった。