第23章 黄水仙(家康)
ひとしきりお腹がいっぱいになりました。
さて、どうしたものか……。
急に家康が謝ってきた!
これは…なんだ?
想定してなかったんだもん…
今までずっと嬉しかったって?!
えええーーー!
ずるいずるいずるい!
そんなの……めちゃめちゃ嬉しいじゃん!
一生懸命会うきっかけ探してたのに…ばか…
あ…これを言えばいいのかな…でも…うん。
「あのですね…」
変に神妙な声が出た。
『え…はい…』
はい?家康がはいって言った…なにそれ…きゅんてした…
じゃなくて……
「あの、黙って秀吉さんの仕事しててごめんね?」
『それは…うん。今度からは絶対黙って出て行かないで』
「う、うん。わかった…」
『どれだけ心配したと思ってるの…全然会えないし…』
なんか…家康さん…いじけてる…?まさか…ね?
「会えなかったのは私も…で…その…」
『会いづらくしたのも…ごめん』
「え?……まってまって…なんで…その…そんなに素直な感じで…」
『決めてたから』
「な、なにを?」
『あんたに会ったら、素直になるって。それでいっぱい甘やかすって
決めてたから』
サラッと今、何か言いました?あ、甘やかすって…
私は瞬時に過去の記憶が蘇る。
ものすごく甘やかされたあの日の事を……
でも、今までそんな感じじゃなかったし…
私の頭の中は大混乱…
「そう…なんだ?でも、私も謝らないと…」
そう言ったら、向かいにいた家康が私の隣にやってきた。
『何を?』
そう言って、私の頬に触れる。
凄く優しく、ガラスに触れるような手つきで。
「家康に会うきっかけをいつも探してた…
役に立ちたいとか、喜んでもらいたいとか…
理由をつけて一緒にいたいって思ってた」
『うん…』
優しく相槌を打ちながら、耳に髪の毛をかけてくれる…
「でも…そうじゃなかったよね。私大切なこと気づかなくて…
きっかけなんてなくても、好きだから一緒にいたいって言えばよかった」
家康の動きが止まった。
少し目を見開いて驚いてるみたい…
それで…すぐに優しい眼差しに変わった。