第23章 黄水仙(家康)
はぁ……
どうにか伸びたかな…
もう…よりによって、着物抱きしめて寝ちゃうなんて…
わたしのばか!
しかも…家康の前で泣いちゃうなんて…
家康は私が泣くのがいやなのに…
駄目だなぁ…
でも、さ?
この着物は大切だよ。
家康と同じくらい大切なんだ。
それ伝えたかったのに、涙が溢れちゃって…
家康への想いを伝えたかったのに。
誤解させちゃったかな…
早く帰らなきゃ。
それで、ちゃんと家康に渡そう。
秀吉さんに言われて気づくなんて、私も馬鹿だよね……
『きっかけ?会いに行くきっかけなんて必要なのか?
好きだから会いたい、それで十分だろ?』
そう言われた。
そうなんだよね。
好きだから会いたい。シンプル。
喜んでほしいから、とか、
役に立ちたいから…とか、
そういう理由なんてホントは要らなかったんだよ。
私は家康が好きだから会いたいだけなのに。
そういう純粋な想いで家康に接してなかったから
だから、喜んでくれないと悲しくて、
勝手に落ち込んで…
もう、ばかばか!
私は自分の頬を両手で叩く。
よし!一先ず帰ろう!
それで、家康と一緒にご飯たべて、
これ渡して謝ろう。
それで……
ちゃんと気持ち伝えるんだ。
好きだから、ずっと一緒にいたい…って。