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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第23章 黄水仙(家康)


秀吉さんが帰ってから、私は寝ずに家康の着物を仕上げた。
いつも忙しい家康が、ゆっくり快適に眠れますように…
これを着た家康が、ホッとできますように…
願わくば…これを着たら私を思い出してくれますように……


最後のひと針を終えた頃、空はもう白みかけていた。

「できた……」

縫い終わったその着物を抱きしめてたら、
いつのまにか眠ってしまっていた。


………………



『愛!!』

バタンっと大きな音がして襖が勢いよく開いた。
俺の目に飛び込んできたのは、着物を掴んで畳に倒れている愛の姿。

『な……大丈夫か?!愛!愛!』


秀吉さんに全部聞いた。
仕事で詰めてたこと、城にはいなかったこと、愛が殆ど寝ないでいたこと。
それに……俺の事が好きなのに、会いに来れなくなってたこと……


でも、なんで目の前のこの子は倒れてるの…
慌てて脈を取る。なんども呼びかける。


「んん……?いえやす…?あれ…」

寝ぼけ…てる…

俺は一気に力が抜けて、その場に崩れた。

『なんてとこで寝てるの……いい加減にして…』

呆れたような、ホッとしたような声が出る。

「あれ!私寝ちゃってた?!あーしかも着物…シワが…」

愛が慌てて着物を畳んで皺を伸ばしている。

てゆか…あの…俺より着物ですか?

『ちょっと!』

皺を一生懸命伸ばしてる愛の手首を乱暴に掴む。

「…っ」

やば…

『あ…ごめん…。でも、それそんなに大事なわけ?』

辛うじて謝れたけど、また余計な一言を言ってしまう。

「大事だよ…。
この寝着は、ゆっくり眠れますように、疲れが取れますように……
って沢山想いを込めて作ったんだから…」

なにそれ…そうかもしんないけど、明らかに男物だろ…
いくら仕事でも…なんか…凄く嫌なんですけど。

『あそ。俺より大事なことはわかった。帰るよ』

かっこ悪い…ただの嫉妬じゃないか。
また自己嫌悪に陥りながら、再び腕を取ろうとした。
けど…避けられた。

『え…なん…』


なんで泣いて……
あぁ…ダメだ…泣かないで…あんたの涙は…見たくないんだ…
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