第3章 彼と私の秘密の言葉(三成)
何かに包まれるような温もりの中で、目が覚めた。
「ん…。あれ、私…」
寝ぼけた目を擦ると、胸元に自分を閉じ込める腕が見えて
誰かに抱きかかえられている事に気づく。
上を見上げると、其処には大好きな人が目を閉じていて、
綺麗な睫毛に行灯の火が揺れていた。
「三成くん?」
その頬に触れようと手を伸ばそうとすると、
自分を抱えている腕にぎゅっと力が込められた。
『愛様…。もう離しませんよ…。
貴方をお守りするのは私ですから…』
「三成くん、寝てる…の?」
『起きてますよ…。」
その答えに愛はビクっと身体を震わせた。
『愛様、寒いですか?』
三成は目を開けて愛に尋ねる。
「ずっとこうしていてくれたの?私…何が…」
三成は微笑んで、優しく愛の頬に触れる。
『愛様は高熱に苦しんでらっしゃったんですよ?』
「そうだったんだ…。三成くんが見つけてくれたの?」
その質問には力のない笑みで、
『家康様が呼んでくださいました。」
と答えた。
「家康さんが?なんで三成くんを…」
きょとんとして呟く。
『私じゃない方が愛様は良かったですか?』
三成の声が少し震えたような気がした。
「ううん。私は目が覚めて三成くんが居たから、
こんな幸せな事はきっと夢だと思ったの。
ずっと…こうしたかったから…」
消え入りそうな声で愛が言う。
『愛様…』
三成が目を見開いた。愛には、
行灯の灯り以上に三成の顔が赤くなったように見えた。
『私も、ずっと愛様に触れたかったのです。
政宗様が頭を撫でたり、秀吉様が抱きしめたりしてるように…』
「み、三成くん見てたの?!」
何も答えずに、いつの間にか緩められていた腕の力を再びギュッと込める。
「秀吉さんは、妹の恋路を励ます為に、ギュって力をくれただけだよ。」
『え?』
「私が、挫けそうになってたから…。」
『私のせいですね。申し訳ありません。
愛様にはいつも笑顔でいてほしいのに…』
でも…と愛が言う。