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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第22章 立待月に焦がれて(政宗)


「ほら、お茶入ったぞ」

そういうと、政宗は愛の前に差し出した。

「ありがとう…なんか、全部政宗にやらせちゃってごめんね」

そう言いながらお茶に手を伸ばす。

「いいんだよ」

そういうと、餅のお重を持って愛の隣に腰をおろした。

「それ…」

グチャグチャになってしまった中身を見て、
愛は胸を痛めた。
一体、これを持ちながら、どんな気持ちで自分を探していたのだろうか。

でも、なぜあんなに怒っていたのに、必死に探す事にもなったのか…

愛には聞きたい事が沢山あった。

「ねぇ?」

意を決してその質問をしようと口を開く。

「よくできてたな」

そういうと、今は原型を留めていない餅を口に運ぶ。
その様子を愛はじっと眺めていた。

「美味いな…頑張ったじゃねぇか」

親指で口の端を拭いながら政宗が笑う。

「良かった…」

愛は自然に笑顔になる。
そう、この顔が見たかったんだ。そう言って欲しかった。
だから、ずっとずっと待ってたんだ…

でも…

やっぱりどうしてこうなったのか、根本は何も解決されていないのだ。

「お前、見張り小屋に行ったんだってな」

「え…もう知ってるの?」

いずれ、誰かしらから耳に入るのはわかっていた。
でも今日の今日でもう知っているとは思わなかった。

「知られちゃまずかったのか?」

あえて不機嫌そうに声を出す。

「そんなわけないでしょ?隠してたわけじゃないし…」

眉尻を下げながらそういう愛に、
政宗には疑問が浮かんだ。
いや、今浮かんだわけではない、ずっとそれが引っかかっていたのだ。

「なんで行くことを言わなかったんだ…?」

優しく努めて優しく訊いたつもりだ。
けれど、愛の表情はなにかを迷っているようだ。

「言えないのか?」

ううん…
無言で首を振った。

そして、観念したように話し始めた。
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